【今年はオンライン】日本建築家協会近畿支部「卒業設計コンクール2020」最終審査会を開催 | 建設通信新聞Digital

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【今年はオンライン】日本建築家協会近畿支部「卒業設計コンクール2020」最終審査会を開催

 日本建築家協会近畿支部(JIA近畿、津田茂支部長)は18日、卒業設計コンクール2020の最終審査会をオンラインで開いた。最終選考に残った7作品の中から岡本典子さん(奈良女子大)の「砂丘インフラストラクチャー」が最優秀賞に選ばれた。

最優秀作品


 同作品は鳥取砂丘を敷地とし、砂丘環境の損失につながる砂防林を一部伐採し、堆砂堤を新たに設けることで、飛砂被害を軽減して砂丘の風景を保全するとともに、動く風景を可視化し、動態的な風景を生み出すランドスケープの提案となっている。

 岡本さんは「建築作品が集まる中で、ランドスケープ中心の自分の作品がどれだけ認められるか不安だったが、高い評価をいただくことができてうれしい」と受賞の喜びを語った。審査委員長を務めた江副敏史氏(日建設計)は「ゆっくりとした時間の流れが感じられる、ロマンのある作品だった」と講評した。

岡本さん


 このほか、呉羽玲さん(阪大)の「八方美人な建築」と中上和哉さん(関西大)の「ほとぼりの流転」が優秀賞に選ばれた。審査員は江副氏のほか、出江潤氏(浅野・出江建築事務所)、井上久実氏(井上久実設計室)、木村吉成氏(木村松本建築設計事務所)、中西ひろむ氏(中西ひろむ建築設計事務所)、森雅章氏(安井建築設計事務所)が担当した。

 審査会では例年、会場を使用して公開プレゼンテーションを開いていたが、今回は新型コロナウイルス感染拡大防止策の一環として、ウェブ会議システム「ZOOM」を活用してプレゼンテーションを配信し、審査や講評もオンラインで実施した。

 津田支部長は審査会の冒頭で「この大変な状況の中で審査会に参加するのは貴重な経験になる」と述べた。

 また、江副委員長は審査会終了後、「このような環境であっても皆さんのプレゼンテーションは優秀だった。結果的には建築の具体的な形が見えにくい作品が高い評価になった。審査する側としては、模型を見ることができないこと、発表者との距離が生じることには違和感を感じる。CGなどを活用してどれだけカバーできるか、今後の課題だろう」と語った。

 受賞者以外の発表作品は次のとおり(敬称略)。
 ▽太藁と蜜柑=鹿山勇太(大阪工大)。
 ▽空移現の建築-堺環濠都市北部における町家保存と都市再生の提案=名富心(摂南大)。
 ▽島と堤-堤防沿い集落における土手の拡張による堤再考計画=尾石光(近畿大)。
 ▽人口減少に対応した既存住宅地の計画的な縮小=福田翠紀(大阪市大)。

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