【大規模なまちの再編】次の100年へグローバルな発信力を 中野サンプラザ跡地再整備 | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【大規模なまちの再編】次の100年へグローバルな発信力を 中野サンプラザ跡地再整備

 東京都中野区は、中野サンプラザや庁舎の跡地(中野駅新北口駅前エリア)で再開発を施行する事業者候補として、野村不動産を代表企業とするグループを選定した。提案では、高さ約235mのシンボルタワーと大ホール「NAKANOサンプラザ」、総延べ約25万7000㎡を整備する計画を示した。総事業費は約1810億円を見込んでいる。提案コンセプトは「Culture Driven City NAKANO100-文化を原動力とした中野100年のまちづくり-」。100年に一度と言われる大規模なまちの再編を経て、次の100年の持続性とグローバルな発信力を持つ都市への発展を目指す。

提案イメージ図(図はいずれも提案概要書より)

大ホールを緑で覆い“森”創出/総事業費は約1810億円

 提案書によると、シンボルタワーを駅に近い南側に配置する。低層部に商業機能、中層部にレジデンス、高層部にオフィスを配置。高層部は「既存の中野サンプラザのDNAを継承したデザイン」とする。

 「NAKANOサンプラザ」は、敷地の北側に整備する。上層階にはホテル機能を構える。地上2階レベルでは、駅の南北自由通路から周辺地区へつながるスカイデッキを設ける計画だ。



◆ホール収容最大7000人
 再整備の検討が住民らを交えて進む中で、焦点となっていたのが多目的ホールの収容人数だ。民設民営で採算が取れる規模で、しかも駅や周辺の街が混雑しすぎない規模を実現するために、意見交換やケーススタディーを重ねた。

 施行予定者候補は、着席5000人、スタンディング時最大7000人の規模を提案した。観客席は3層の扇形構造で、1階は固定席のほか、コンサートやアーバンスポーツに対応した平土間を配置する。

大ホールのイメージ図


 “中野ならでは”の音楽、サブカルチャー、スポーツ、地域文化といった興業を誘致したい考えだ。ポストコロナ社会の新たなホールとして、最先端の感染症対策技術を導入することや、ライブをハイクオリティーでデジタル配信できる5G(第5世代移動通信システム)、6G(第6世代移動通信システム)のデジタル環境を整備することも提案した。

 環境性能や防災性の向上も重要な視点となる。事業者提案では、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギービル)認証を目指す方針を示した。大ホールを緑で覆い、“サンプラザの森”を育む。

 免震構造を採用して耐震性能を確保する。CGS(コージェネレーションシステム)やデュアルフューエル非常用発電機を導入して、災害時にも自立可能な施設を目指す。



◆エリアマネジに注力
 酒井直人中野区長は4日の会見で「再開発エリアを含め、中野駅全体で1つのブランドとして発信していきたい。サンプラザ跡地にできるエリマネ施設が、中野のために地域住民や事業者が活動していく拠点になると期待している」と語った。

 事業者提案ではエリマネ施設として、シンボルタワーと大ホールの間に、地域ワークショップなどを開ける空間やバンケット(小ホール)を整備する計画を示した。大ホールの屋上に設ける屋上広場とエリマネスペースを一体的に活用することも想定している。

 既存施設の解体前に「さよならサンプラザイベント」を開くことや、竣工後には収益事業を検討するなど、プロジェクトの進捗に合わせてエリアマネジメントを長期的に発展させる計画を示した。

 施行予定者候補グループは、野村不動産が代表企業を務め、共同施行者として東急不動産、住友商事、ヒューリック、JR東日本、協力事業者として清水建設、日本郵政不動産、日本設計、電通、ジェイアール東日本ビルディング、野村不動産ホテルズ、野村不動産パートナーズ、東急コミュニティー、リージョンワークスで構成する。

 3月にも候補グループと区で基本協定を締結し、事業計画を具体的に検討していく。「事業が固まる前に(住民の)意見をいただきたい」(酒井区長)考えだ。

 2022年度の都市計画決定、23年度の事業計画・権利変換計画認可を予定している。24年度の解体、25年度の着工に向けて、事業者、区、住民らで検討を重ねていく。28年度の竣工を目指す。

断面構成図



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