【BIM未来図・LIXIL②】外構で自動設計ニーズ拡大 設計者の作業効率化ツールに | 建設通信新聞Digital

5月3日 金曜日

B・C・I 未来図

【BIM未来図・LIXIL②】外構で自動設計ニーズ拡大 設計者の作業効率化ツールに

 LIXILが、オートデスクBIMソフト『Revit』のアドインとして、エクステリア自動設計ツールを提供してから2年が経過しようとしている。現在は外構分野で提供するファミリ(製品モデル)180点の中で、フェンスと駐輪場の一部を自動設計の対象にしているが、設計者からのニーズ拡大を背景に「将来的には通路屋根などにも対象範囲を広げていきたい」とエクステリア事業部商品開発部商品戦略室の遠藤雅人主査は意気込みを語る。

 建築設計事務所では大手クラスを中心にBIMの本格導入にかじを切る動きが拡大し、人材育成とともにBIMの基本インフラとなるファミリの整備にも力を注ぐ。メーカー側が自社製品のファミリを提供する流れが広がれば、設計者にとってもメリットがある。メーカーが発売した新製品のデータが迅速に提供される上、BIMソフトウェアのバージョンアップにもメーカー側が対応してくれる。設計者にとっては社内調整の手間やコストが大幅に軽減されるからだ。

 久米設計で社内のBIM推進を担っている設計本部設計推進部の田中武上席主査も、メーカー側の積極的なファミリ提供の動きを前向きに受け止める設計者の1人だ。BIM標準ソフトとしてRevitを位置付ける同社は、2008年からBIM導入にかじを切り、12年には得意分野の病院プロジェクトで基本設計から実施設計までのフルBIMを実施し、現在も着実に導入件数を増やしている。ことし4月にはBIMを推進する組織を発足させる予定で、3年後にはBIM導入率で5割を目指す。田中氏は「外構自動設計ツールは使い勝手が良く、社内への導入を決めた。これからリモートで行う社内研修のメニューにも入れていく」と明かす。

久米設計の田中氏


 外構部分に対する設計者の要求は多岐に渡る。豊富な製品を提供するLIXILには、光や風を通すためにフェンスのルーバー数を減らしてほしいなど、実際の規格品とは異なる形状の特注品を求められるケースも少なくない。実プロジェクトでは駐輪場でも多彩な配置パターンが提案される。遠藤氏は「外構部分の細かなモデル化は設計者にとって時間をとられる作業になってしまう。メーカー側が担うことによって、設計者の業務効率を少しでも支援したい」と付け加える。

LIXILエクステリア自動設計ツールを使った検証モデル


 エクステリア自動設計ツールは、Revitのアドインとして、インストール後には画面に専用パレットが登場する。駐輪場を自動設計する場合、設置場所や台数、向きなどの条件を入れるだけで、550台規模であれば、わずか10分ほどで基本的な配置が完了するという。敷地勾配にも自動対応するため、設計者にとっては作業の大幅な省力化が図れる。「外構の設計自動化についてはファミリ提供当初から要望があった。設計者のBIM導入が進展する中で外構の自動設計ニーズは一気に高まりを見せている」と強調する。

専用パレットに設計条件を選択



【BIM/CIM LIVE 2020 第4回】申し込み受付中!(参加無料)


建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら