【BIM未来図・LIXIL①】設計者ファーストの流れ 全方位で製品モデル提供 | 建設通信新聞Digital

5月17日 金曜日

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【BIM未来図・LIXIL①】設計者ファーストの流れ 全方位で製品モデル提供

 BIM導入プロジェクトの増加に呼応するように、建材や設備機器などを提供する建築系メーカーがBIMへの対応力を強めている。各社は自社製品を3次元モデルデータ化したファミリ(製品モデル)を無償提供することで設計者や施工者のBIM導入環境を下支えする。対応製品はサッシ・カーテンウォール、衛生設備、照明器機など多岐にわたる。その中でも総合メーカーとして幅広く活動するLIXILは、業界を先導するように全方位でBIM対応に乗り出している。変化するメーカーの姿を追った。

 「BIMを軸に各部署が連携し、提案を強める流れが出てきた」と、ビル事業本部市場開発統括部エンジニアリング営業部の西村雅雄担当部長は手応えを口にする。同社がBIM対応に乗り出したのは10年ほど前にさかのぼる。ビルサッシ・カーテンウォール分野で設計者から要望が上がり始め、個別物件対応として3次元モデルデータの提供に乗り出したのが出発点となった。2016年からはエクステリアや衛生設備機器の両分野でファミリ提供をスタート、20年7月からはキッチン分野にも拡大し、現在はユニットバスでもデータ提供の検討を進めている。

左から西村氏、遠藤氏、山下氏


 特にエクステリア分野で、建築周囲に配置する外構製品のファミリを提供しているのは同社だけ。ファミリ数はフェンス類、門扉、自転車置き場、日除け、バス停など180点にも及ぶ。エクステリア事業部商品開発部商品戦略室の遠藤雅人主査は「外構は建築をより魅力的に見せる役割があるが、あまり主張し過ぎないように提供データにも工夫を凝らしている」と強調する。

エクステリア製品モデルは簡易版と詳細版を提供


 エクステリアでの提供データは3次元の表現としてLOD(詳細度)100の簡易版と同300の詳細版を用意しており、100については半透明とし、建築の見せ方に応じて自在にLODを切替えられるように設定している。フェンスなどはユニットごとにモデル化し、端部を伸ばして自由に長さが自在に変更できる。ファミリのダウンロード数も、予想を上回る反響があった。エクステリア営業部エンジニアリング営業グループの山下克人主幹は「BIM導入が進み、設計者の中には外構まで細かく取り組もうというニーズが広がっている」と実感している。

 同社にはファミリ提供をきっかけに、設計者から多くの声が寄せられた。外構設計に対応するためには敷地勾配を踏まえ、オブジェクトの配置角度を細かく入力する必要があり、それが設計者の作業手間にもなっていた。「自動で設計できる仕組みにならないか」。こうした提案が新たな展開に結びついた。

 同社が開発したBIMソフトにアドインするエクステリア自動設計ツールは業界で初めて。自社の製品ファミリを提供するメーカーは増えているが、アプリケーションとセットにした展開は先駆的な試みとなった。遠藤氏は「これからも設計者ファーストの視点に立ち、生産性向上に貢献していく」と力を込める。



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