【安全安価&短時間施工】鋼管柱を中から補修 トッププランニングJAPAN「FRPシップ工法」 | 建設通信新聞Digital

5月5日 日曜日

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【安全安価&短時間施工】鋼管柱を中から補修 トッププランニングJAPAN「FRPシップ工法」

 道路照明などで設置している鋼管柱は、設置後おおむね25年以上経過すると路面境界部や内部の腐食によって突然倒壊するリスクを抱えているとされる。全国には交換の必要がある鋼管柱は大量に存在しているが、コストの問題などからリスクを抱えたままの鋼管柱も多い。トッププランニングJAPAN(東京都中央区、村山哲生代表取締役)の「FRPシップ工法」は、そうした鋼管柱を安価で安全に補修できる工法だ。

 FRPシップ工法は、鋼管柱を内面から補修する工法で、道路照明の鋼管柱を主なターゲットとしている。一般的な対処法である新品への交換や外巻き補強とは異なり、周辺の掘削作業は必要ない。エアーバッグを内蔵したアラミド繊維シートを鋼管柱の開口蓋から挿入し、エアーバックを空気膨張させて鋼管柱の中空内面に貼り付け、そこへ高強度モルタルを充てんすることで、強度を向上させる複合一体型の補強工法となっている。

FRPシップ工法施工イメージ図


 現状のままで地際をスポット補修し掘削作業を必要としないため、重機などの機材は不要で作業は2時間程度と短時間で済ませることができる。既存設備の撤去もなく、廃棄物が発生せず環境にも優しい。

開口蓋から材料を充填する


 地下腐食部分の補強も可能で、路面境界部を新品同等以上の強度に再生する。腐食で穴が開いていてもモルタルが流出することはない。さらに、コスト面では建て替えた場合の約3割程度に抑えられるなど、多くの特長がある。

 高度経済成長期の道路延伸に合わせて全国各地で設置された街路灯などで支柱として使用されている鋼管柱は、路面境界部の腐食など老朽化による倒壊リスクが深刻な問題となっている。

腐食が進んだ鋼管柱


 鋼管柱の耐用年数は早いもので10年程度とされ、設置後21年以上では40%が倒壊の危険を伴うとするデータもある。国土交通省道路局の調査結果では、設置後おおむね25年以上経過した道路照明柱は、塗装の塗り替えなどで外面が一見健全であっても、路面境界部や内部の腐食で突然の倒壊を起こす可能性があることが明らかになっている。

 老朽化した鋼管柱の危険性は広く認識されているが、道路照明柱の照明部分にはさまざまな補助や助成があるものの、支柱部分には補助や助成がないためコスト負担が少なくない。また、従来工法では基礎のコンクリートにも手を加えなければならないため、時間がかかることも課題となっている。

 事前防災・減災の考えに基づき、日本の産業競争力を高め「強くてしなやかな国」をつくるための「国土強靱化(ナショナル・レジリエンス)」に関する総合的な施策づくりや、その推進を目的としたレジリエンスジャパン推進協議会は、ワーキンググループ(WG)の1つとして「老朽街路灯・鋼管柱強靱化促進研究会先進ソリューションを活用した実証・検証WG」を設けている。同WGは、従来工法よりも「時間と予算を削減する新工法」の普及促進が倒壊の危険低減や有事の際の早期復興につながるという考えのもと各種議論や検討を進めており、トッププランニングJAPANの村山代表取締役も専門委員の1人として参画している。

 村山代表取締役は、同工法について「社会のために役立つ工法で、昨今頻発する自然災害への事前対策にもなるため、さらなる普及に努めていく」と語る。また、鋼管柱だけでなくコンクリート柱も含む大半の中空ポールに適用可能であることから、大きな潜在市場が見込める海外の先進国への展開も視野に入れているという。

 同社は7月14~16日、大阪市のインテックス大阪で開催する「メンテナンス・レジリエンスOSAKA2021」内の「第6回建設資材展」に出展し、同工法の展示を予定している。

道路照明の支柱などが 主なターゲット



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