【RC造地震対策】熊谷組と東京工業大学 「復旧しやすいRC造梁の構築手法」を共同研究 | 建設通信新聞Digital

5月5日 日曜日

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【RC造地震対策】熊谷組と東京工業大学 「復旧しやすいRC造梁の構築手法」を共同研究

 熊谷組は、東京工業大学と共同で大規模地震による建物の損傷(RC造の梁のひび割れ)を意図的に集約させることで、より補修性を高める「復旧しやすいRC造梁の構築手法」の研究開発に取り組む。建物の損傷を補修しやすい部分に集めることで、迅速な補修による早期の復旧と建物の継続使用につなげることが狙い。補修に要するコストの低減にも役立つ。

梁の損傷状況


 RC造のひび割れ範囲を抑制する方法の1つである主筋の付着除去を梁部材に適用。梁に生じるひび割れを部分的に集約させることで、補修性の高い梁部材を構築する。超高層RC建築物を想定した2分の1スケールの試験体で、その有効性を確認した。

 2段目の主筋を途中でカットオフすることで相対的に端部の主筋量を増加させる一方、1段目の主筋の一部をシース管に通すことでコンクリートとの付着を除去。意図的に端部側に損傷を集約させる仕組みとなる。

 地震によるひび割れ補修のコストが増大する要因として、ひび割れが部材全体(広範囲)に発生してしまう点に着目。地震による損傷を制御して意図的に補修しやすい部分に損傷を集めることで、補修性の向上と補修コストの低減を両立させる。

 主筋に付着除去を施すことによるエネルギー吸収性能の低下を念頭に必要部分に限定して座屈拘束ブレース(BRB)で補う架構を提案。BRB付きの1層1スパンの架構試験体の構造実験で性能を確認した。

 大規模地震が起こった場合、建物に広範囲にわたって損傷(ひび割れ)が発生すると、補修によって継続的に使用できるケースであっても、その補修費用が膨大となり、所有者が大きな経済的損失を被る懸念がある。

 損傷部位をあらかじめ補修しやすいところに集める「復旧しやすいRC梁(部材)」を構築することで、地震による建物継続に配慮した建物の提供を実現。今後も継続的に研究開発に取り組むことで、所有者の事業継続計画(BCP)に貢献していく。



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