【飛島建設・早大が実空間にリアルタイムで投影する音響可視化システム】 | 建設通信新聞Digital

5月8日 水曜日

公式ブログ

【飛島建設・早大が実空間にリアルタイムで投影する音響可視化システム】

 飛島建設は、早稲田大学基幹理工学部表現工学科及川研究室(及川靖広教授)と共同で、音の計測結果を実空間上にリアルタイムで投影する音響可視化システム「OTOMIRU(おとみる)」を開発した。光学透過型ヘッドマウントディスプレー(OST-HMD)を介して、音の情報をカラーマップで実空間上に重ね合わせることで、奥行方向の計測位置が把握しやすい形で音を可視化できる。


OTOMIRUによる音の可視化



 同システムは、複数の無指向性マイクロホンを平面上に配置したマイクロホンアレイで収録した音を処理し、任意断面の音圧レベル分布を算出して、その結果をOST―HMDにネットワーク上で転送し、実空間上に音圧レベルのカラーマップを投影する。開発に当たっては、同大学の研究成果を社会実装するインスピライ(東京都新宿区、井上敦登CEO)が協力している。

 特長は、リアルタイムに音を可視化でき、突発的に発生する音源も可視化できる。OST-HMDを複数台同時に接続することで、複数人がリアルタイムで計測結果を共有でCきる。
 カラーマップは、ユーザーが移動しても元の位置に固定され続けるため、自由な場所で音を評価できる。計測の開始・停止、測定パラメータ変更などの操作は、OST-HMDを通して表示されるホログラムの設定パネルででき、計測しながらの対策工が可能となる。

 適用例は、▽建築物における遮音欠損部の探査▽建築空間の音響状態の調査▽複数の重機が稼働する建設工事現場での騒音源探査▽騒音発生施設の漏音部位の探査▽騒音対策効果の検証--など。
 音の分布の可視化により、計測の効率化・省力化につながるほか、音の物理的な評価と視覚による評価を同時に行うこともでき、より迅速な対策立案と効果の検証ができる。

 今後、建設工事現場などでの試験運用を進め、システムの性能向上を図る。同システムをベースとして、3次元的な音の情報(音の伝搬情報)をリアルタイムに計測し、実空間に投影する技術の開発も進める。



建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら