【長谷工が湯川秀樹旧宅を整備し、京大に寄付】 設計=安藤忠雄建築研究所 施工=細田工務店 | 建設通信新聞Digital

4月25日 木曜日

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【長谷工が湯川秀樹旧宅を整備し、京大に寄付】 設計=安藤忠雄建築研究所 施工=細田工務店



 長谷工コーポレーションは、日本初のノーベル賞受賞者、湯川秀樹博士が晩年を過ごした「湯川秀樹旧宅」を整備し京都大学に寄付することを明らかにした。博士の功績を後世に伝えつつ教育・研究の諸活動に生かせる施設となる。京都市内にある旧宅を現状の面影をできる限り残しつつ改築する。設計を安藤忠雄建築研究所、施工を長谷工グループの細田工務店が担当し、2022年の着工、23年の完成を予定している。

湯川秀樹旧宅 写真提供:京都大学




 京都市左京区下鴨泉川町の邸宅に湯川博士は1981年に亡くなるまでの約24年間、家族とともに過ごした。建物は33年に建築した木・土蔵造瓦ぶき2階建ての住居と2階建ての書庫、物置など総延べ約370㎡。敷地約750㎡の大部分を占める庭には四季を彩る多くの樹木が植えられ、博士を訪ねる多くの訪問者を温かく迎えていた。

 近年までは親族が住んでいたが、建物が老朽化し、維持することが困難となっていた。京大が安藤忠雄氏に相談後、安藤氏から紹介を受けた長谷工コーポレーションがことし3月に土地・建物を取得した。同社の西川典男執行役員は「価値の高い建物。一般企業に募集すればすぐに取得先が見つかるだろうが、大学が想定した活用にならないと考え、当社が一括取得することにした」と経緯を説明した。

 安藤氏は「敗戦で打ちひしがれた日本人全員に生きる力を与えたのが湯川先生だと思っている。敗戦後、日本人が頑張ってきたことを知ることができる建物にしたい」と設計に向けた意気込みを語った。 湊長博京大総長は「湯川先生は当大学にとって特別な存在。科学や社会に対する考え方やその姿勢が京大の骨格に最も肉薄した方。そのことを伝えていきたい」と述べた。

安藤氏(右)と湊総長




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