【記者座談会】20年度海外コンサル受注/コロナ禍直撃、19年度から29%減少 | 建設通信新聞Digital

5月5日 日曜日

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【記者座談会】20年度海外コンサル受注/コロナ禍直撃、19年度から29%減少

 国際建設技術協会が2020年度海外コンサルティング業務等受注実績調査の結果をまとめた。内容はどうだったかな。

 コロナ禍が直撃し、過去最高だった19年度から29.9%減の1004億5000万円まで落ち込んだ。工事1件当たりの受注額も20.8%減の1億6800万円と大きく減少した。ある程度想定していたとはいえ、実際の減少幅を目の当たりにするとインパクトがあるね。

 受注総額で大きなシェアを占める、JICA(国際協力機構)の円借款が51.9%減の416億9000万円と低下したことが要因だ。新型コロナウイルス感染症の世界的なまん延で発展途上国の工事が停止し、円借款の主要業務である施工監理などに波及したことが数字として表れた。

 同協会の担当者は「厳しい状況が1、2年は続くのでは」と話しているが、アジアやアフリカなどのインフラ整備に対する需要は依然として旺盛なため、一時的な停滞と見る向きもある。海外案件が正常に動き出すことに備え、今後の動向に注視しながら、体制を整える必要があるだろう。 

 国別の受注額にも大きな変動があった。3年連続でトップだったフィリピンが80.0%減の107億7000万円と減少し、3位に後退した。それに取って代わる形で、インドネシアが1位についた。ジャカルタ都市高速鉄道南北線建設事業フェーズ2、ルンタンかんがい近代化事業を背景に倍増の186億5000万円まで伸びた。

 ホーチミン市都市鉄道1号線建設事業で、11位から4位にジャンプアップしたベトナムを含めて、引き続き運輸交通分野が発展途上国のインフラ整備の中心となりそうだね。

ハード・ソフト両面に期待



河川の穏やかな表情も、豪雨や台風で一変する



 温暖化の影響もあって、豪雨災害が激甚化している。「○○年に一度の大雨」などの言葉がよく聞かれるようになったね。自宅の近くを大型河川が流れているので、増水や越水、氾濫などの映像を見ると、恐怖を感じてしまう。

 国土交通省は、雨による堤防の越水、浸水被害の状況を安価でリアルタイムに把握できる、小型で安価な「ワンコイン浸水センサ」に関する実証実験を計画している。流域治水の取り組みの一環で、堤防の越水や、周辺地域の浸水状況を速やかに把握して、迅速な災害対応や地域への情報発信を行うことができるようになるそうだ。

 台風が接近、また上陸した場合や大雨の際には、自宅近くの大型河川が時間を追うごとに増水したけど、国交省「川の防災情報」の自宅に最も近い水位観測所の河川の状況を把握できるライブカメラがとても役立った。状況をこまめに確認することで、増水の状況がよく分かり、夜間でも河川の状況が分かるのもありがたかった。

国交省の22年度予算概算要求では、治水事業でハード・ソフト一体の水災害対策「流域治水」の本格的実践に7440億円を要求している。戦後最大洪水に対応した河川整備と流域における対策を組み合わせた「流域治水プロジェクト」に基づいて、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」も活用し、堤防、河道掘削、遊水地・放水路・ダムなどの事前防災対策を完成年度の目標を持って計画的に進める。

 これからも、豪雨発生の可能性や、台風シーズンを迎えて大型台風が上陸する可能性もある。ソフト、ハード両面で河川防災を進めることで、被害を抑えることができる。整備とともに、さまざまな情報発信にも期待したい。



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