【記者座談会】インフロニアHDと人・夢・技術グループが発足 | 建設通信新聞Digital

5月17日 金曜日

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【記者座談会】インフロニアHDと人・夢・技術グループが発足


 インフロニアHDの会見で岐部社長は、新しいインフラ運営のスタイルに挑戦することを強調した

 前田建設と前田道路、前田製作所の共同持株会社「インフロニア・ホールディングス」が発足した。

 社名は、時代ごとのインフラの革新者(イノベーティブ)・先駆者(パイオニア)・エンジニア・フロンティアという思いを込めた造語だ。建設会社としてインフラの運営・コンセッションに挑戦し、新しいインフラ運営のあり方を提示したいという思いがある。

 例えば再エネ事業でインフロニアHDは事業者としての立ち位置を明確にしている。事業に伴う工事についても、岐部一誠社長は「前田建設が必ずしも請け負う必要はない」としていた。だが、「発注者がリスクを取るなら前田建設が施工した方が良いということが、これまでの10年で分かった。契約上、リスクを誰が取るのか、リスクの取り方で誰がリターンを得るのかが明確になった結果がこの体制だ」とも付け加えていた。脱請負は、建設会社をやめて投資・運営会社になると誤解されがちだけど、そうではなく、建設のノウハウを持っていることが運営する際の大きな武器になると常に強調してきた。

 “建設業冬の時代”に苦しい思いをして、何とか外的要因に左右されない建設会社をつくれないかと悩み抜き、研究を続けた結果、導き出した答えがインフロニアHDだと思っている。今後も新しい建設会社のあり方を提示し続けてほしい。

多様化・複雑化に対応し新体制

人・夢・技術グループの設立会見。右から野本副社長、永冶社長、柳浦副社長

 長大の単独株式移転による純粋持株会社の「人・夢・技術グループ」も1日に発足した。こちらもユニークな社名だ。

 当の永冶泰司社長も設立会見で「普通はこんな名前にしない」と話すぐらいだからね。ただ「人・夢・技術」は長大が創立以来の企業理念を表すキーワードとしてロゴマークと一体となって使われてきたし、グループ社員から反対の声はなかったそうだ。

 長大を事業持株会社とするグループ体制から純粋持株会社制に移行する最大目的は、従来の概念や領域を超えた新しいコンサルタント像を描くために、多様な業種とのM&A(企業の合併・買収)や業務提携でソリューションを広げ自ら変革していくことにある。夢の持てる社会、未来に向けてともに成長する仲間を増やそうとする時に「橋梁に強い長大」という企業ブランドやネームバリューは逆に妨げになるという側面もあった。

 2011年にグループ化した基礎地盤コンサルタンツも親子関係ではなく同格の事業会社としてフラットな関係になることは年来の望みだった。グループ間で相乗効果を発揮し、活躍のフィールドをどう広げていくか注目したい。

 この2社だけを見ても、建設産業に大きな変革の波が押し寄せていると感じる。

 建設コンサルでは2年後の合併に向けて大日本コンサルタントとダイヤコンサルタントがDNホールディングスを7月に設立した。日本工営も2年後をめどに設立する純粋持株会社を核としたグループ経営体制構築の一環として、同社の都市空間事業と完全子会社の玉野総合コンサルタントの組織統合に向けた検討に入った。多様化し複雑化する社会課題に対応したビジネス領域の拡大はコンサル各社に共通する課題で、持続的成長を見据えた合従連衡の動きはさらに活発化しそうだ。

 ゼネコンでも、戸田建設が再び地域の建設会社を買収した。大成建設も地方ゼネコンのM&Aを含む業界再編をにおわせている。地方でも、名古屋の地元ディベロッパーが技術者不足・建設費高騰への対応策として、岐阜県の地場ゼネコンを買収した。「建設業界で再編は起きない」とされた固定概念が通用しない時代が確実にきている。



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