【脱請負と請負利益5対5へ!】インフロニア・ホールディングスの発足会見 | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【脱請負と請負利益5対5へ!】インフロニア・ホールディングスの発足会見





 1日に発足した前田建設、前田道路、前田製作所の共同持株会社「インフロニア・ホールディングス」の岐部一誠社長兼CEOは、インフラ運営などの“脱請負”と土木・建築などの請負の売上総利益の比率について、「2031年3月期には5対5になれば」との考えを示した。会見には、前田操治取締役会長(前田建設社長)、塩入正章取締役兼執行役(前田製作所社長)、西川博隆取締役(前田道路取締役会長)とともに出席し、24年3月期からのIFRS(国際財務報告基準)適用の意図やM&A(合併・買収)の方針などを説明した。


左から西川取締役、岐部社長、前田会長、塩入取締役兼執行役




–HD設立の意図は

 岐部社長 「経済動向や政策など自らがコントロールできない物事(外的要因)に左右されないための解決策が脱請負であり、HDはそれを目指した会社だ。基本的に、建設業法の範ちゅうではない、脱請負・コンセッションを中心とした官民連携の事業や再エネ事業に投資して運営するビジネスにチャレンジする。請負を担う事業会社と脱請負のHDは車の両輪で、請負の競争力が脱請負の武器になる。世界的にもエンジニアリングの会社が官民連携を本気で取り組む事例はないだろう。インフラ運営・マネジメントをより自由な発想・方法で実施し、サービスを享受する人々の生活を変えられれば。3社共通のDX(デジタルトランスフォーメーション)への投資やコスト削減などによる生産性向上もけん引したい」


–官民連携、コンセッションの取り組みは

 岐部社長 「世界的にはあらゆる分野で官民連携事業が行われている。国内では、林業でもコンセッション事業が可能になり、例えば環境や廃棄物処理など地方自治体が担っている事業も行政とともに取り組むチャンスがある。あらゆるインフラサービスで企画・提案したい。アジアでは既に複数の案件に挑戦している」


–DXの取り組みは

 岐部社長 「インフラ運営事業の1つで、大手ITコンサルタント会社とともに新しい技術を実験している。コスト削減だけでなく、将来の投資の費用対効果をシミュレーションしてオペレーションを効率化し、従来以上の精度で実施できる確証を得ている」


–31年3月期の売上総利益のセグメント比率は

 岐部社長 「現在は売上高の請負と脱請負の比率が97対3ほどだ。一方利益は、脱請負が2割程度貢献している。31年3月期は利益で5対5になることを目指す。欧州企業と比べれば、個人的には保守的な数値だと考えている」


–M&Aの方針は

 岐部社長 「3社がそれぞれの事業領域で成長するために必要なM&Aと、HDが担う脱請負で補完すべき部分のM&Aの両面がある。対象は国内企業だけとは限らない」


–IFRS適用の狙い

 岐部社長 「海外展開を視野に入れているほか、官民連携・コンセッションの事業は、日本の会計基準が合致しておらず、グローバル基準の方が目指しているものの数字が投資家に見えやすい。例えばM&Aの場合、現在の日本の会計基準では、PL(損益計算書)とBS(貸借対照表)に企業ののれん代がかかるが、IFRSではのれん代がなくなる。事業会社3社は、まだIFRSに移行するかを決めていない。当面はダブルスタンダードになるが、HDのIFRS適用までの2年間で課題を深く検討する必要がある」


–HDと前田建設の社長人事について

 前田会長 「HDの人事は、暫定の統合委員会に独立社外取締役で構成した暫定の人事委員会で候補者を面談して決まった。HDが目指す総合インフラサービス企業の脱請負の部分は、前田建設で岐部社長が主導的役割を担っており、経営管理本部長として経営全般も担ってきたため適任だろう。権限を委譲して意思決定を迅速にするという指名委員会等設置会社の特長を最大限に生かした人事だ」



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