【プロジェクト】渋滞解消へ! 「2.5環状道路」整備の動き 核都市広域幹線・千葉北西連絡道路 | 建設通信新聞Digital

4月24日 水曜日

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【プロジェクト】渋滞解消へ! 「2.5環状道路」整備の動き 核都市広域幹線・千葉北西連絡道路




 1994年に地域高規格道路の候補路線となった「核都市広域幹線道路」。東京外かく環状道路と首都圏中央連絡自動車道の間の新たな環状道路だが、横浜市やさいたま市など該当する区間での一部供用にとどまっている。しかし、2021年度に入って関係行政機関が相次いでまとめた計画などにより、路線の位置付けが改めて明確になった。特に埼玉県や千葉県の北部区間の議論が活発化する動きがある。点から線、線からネットワークへ、国土強靱化の観点からも整備の必要性は高まっており、いわゆる「2.5環状道路」の今後の整備動向に注目が集まる。

 核都市広域幹線道路は、リダンダンシー(代替性)確保などを目的に首都圏の各都市を相互に結ぶ環状道路となる。94年12月に地域高規格道路の候補路線として建設省(現国土交通省)が指定した。首都圏基本計画に位置付けた業務核都市のうち、▽横浜市▽町田市・相模原市▽八王子市・立川市・多摩市▽さいたま市▽春日部市・越谷市▽柏市▽千葉市–などを結ぶ路線となる見込み。

 指定から既に約27年が経過するが、外環と圏央道の間の主要な高速道路として供用を開始したのは高速神奈川7号横浜北線(生麦JCT~横浜港北JCT間8.2㎞)、高速神奈川7号横浜北西線(横浜港北JCT~横浜青葉JCT間7.1㎞)、高速埼玉新都心線(与野JCT~さいたま見沼JCT間5.8㎞)などにとどまる。

 渋滞の常態化などもあり、具体化しない区間の地方公共団体からは整備に向けた要望活動が続く。加えて近年の頻発・激甚化する災害などを踏まえ、業界団体からも整備の必要性を指摘する声が上がる。

 建設コンサルタンツ協会関東支部は20年3月に「関東地方の交通インフラ構想」をまとめた。首都直下地震に対して事前復興の重要性を強調する同構想で、「復旧・復興の加速化」のかぎとなるインフラとして、核都市環状道路の整備を提案している。

 21年度に入って注目すべき新たな動きも出てきた。18年3月に成立・交付した「道路法等の一部を改正する法律」を踏まえ、関東地方整備局は7月に「関東ブロック新広域道路交通ビジョン・計画」を策定した。同時期に管内9都県も連動するビジョン・計画をまとめた。

 この各行政機関が策定した「新広域道路交通計画」は、国土交通大臣が物流上重要な道路輸送網を指定する「重要物流道路制度」の創設を契機とした中長期的な計画となる。この中に核都市環状道路の名前が改めて盛り込まれた。


◆地域の悲願 千葉、埼玉で具体的議論活発!
 整備の機運が高まる中、既に具体の検討が本格化している区間がある。千葉県と埼玉県だ。

 千葉県区間は、関東整備局千葉国道事務所が8月に野田市~印西市間の交通円滑化を話し合う千葉北西連絡道路検討会を開いた。この会合で同道路を核都市広域幹線道路の機能を兼ね備えた「高規格道路」として早期具体化する方針を確認した。沿線自治体は検討のさらなる加速化を求めており、早期の基本方針策定を目指している。

千葉県=千葉北西連絡道路の想定ルート帯

 埼玉県区間は、大宮国道事務所が県全体の交通課題などを話し合う埼玉県渋滞ボトルネック検討ワーキンググループ(WG)を開催している。この中で、埼玉新都心線~東北自動車道を始めとして東西軸の効果的な対策などを検討することを確認している。同WGは20年3月を最後に開いていないが、埼玉新都心線の千葉方面延伸に期待が高まっている。

埼玉県=核都市広域幹線道路の想定ルート帯

 外環と圏央道が概成しつつある現在、千葉県、埼玉県のいずれも該当区間周辺道路では渋滞が発生している。2・5環状道路の整備は、ネットワークとしての機能強化とともに、地域の交通課題解決に向けた住民の悲願とも言えるプロジェクトになっている。


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