【BIM/CIM未来図-ホロストラクションの進化-小柳建設㊤】高精細の点群をMRで確認 効率化や理解度向上に寄与 | 建設通信新聞Digital

4月16日 火曜日

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【BIM/CIM未来図-ホロストラクションの進化-小柳建設㊤】高精細の点群をMRで確認 効率化や理解度向上に寄与

 小柳建設(新潟県三条市、小柳卓蔵社長)は、MR(複合現実)を活用したソリューション「ホロストラクション」をさらに進化させている。政府の官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)などを活用した「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」に採択された現場で、高精細かつ大容量の点群データをMR上で確認する取り組みや空間マーカー技術を試行し、作業の効率化や工事関係者の理解度向上を実現した。

試行現場のR3阿賀野バイパスJR跨線橋軽量盛土その2工事 


 試行現場となったのは、国土交通省北陸地方整備局新潟国道事務所が発注し、新潟県阿賀野市で施工している「R3阿賀野バイパスJR跨線橋軽量盛土その2工事」。JR跨線橋の橋台背面を軽量盛土材で盛り土する工事で、同社はEARTHBRAINとコンソーシアムを組み応募した。同社の同プロジェクトへの採択は3年連続となる。

 同工事で試行した技術の1つは、クラウドレンダリング技術を活用し、大容量の点群データをホロストラクションで確認する取り組みだ。通常、点群データといった大容量データをMRデバイスで確認する場合、扱うMRデバイスの処理能力に応じてデータを最適化する必要がある。最適化作業には時間を要するほか、スキルが求められる。最適化後のデータは詳細度が損なわれることも課題だった。

 そうした課題を克服し、より効率的な業務につなげるため、同社はドローン測量で取得した現場の点群データを無加工でホロストラクションに映し出す取り組みを実践した。その実現を支えたのは、マイクロソフトが2021年に正式リリースしたサービス「Azure Remote Rendering(ARR=アジュール・リモート・レンダリング)」だ。ARRは大容量データをクラウド上でレンダリングし、MRデバイスにストリーミングするもので、これをホロストラクションに取り入れた。

 同工事では、この技術を現場と本社間での進捗状況の共有や施工検討などに活用した。高精細な点群データを複数の工事関係者がそれぞれの場所から同時に確認して協議できるため、従来のように写真や図面を用意した上で現地に集まる回数が減り、移動時間の削減や理解度の向上に寄与した。中靜真吾専務取締役COOは「デジタルカメラで写真を撮影して送るように、点群データを即座にリアルサイズで共有し、オフィスに現場を送れる。これまで伝え切れていなかったことも容易に説明できるようになった」と成果を語る。

高精細・大容量な点群データを即座に共有できる


 点群データに限らず、BIM/CIMなどの大容量データにも対応できる。同社が施工した別の工事では、この技術を活用し、MR上で完成検査における出来映え確認をした実績もある。中靜専務は「情報伝達・共有の方法はさまざまあるが、目的に応じて点群データも選択肢となることが実証できた」と話す。



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