【デジタル技術で鉄筋出来形計測】国交省が23年度実装目標に調整 | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【デジタル技術で鉄筋出来形計測】国交省が23年度実装目標に調整

 デジタルデータを活用した
 鉄筋出来形計測

 国土交通省は、デジタルデータを活用して鉄筋の出来形計測ができる新技術を対象とした現場試行を始める。画像解析機能を搭載したデジタルカメラなどで鉄筋径や配筋間隔を計測し、そのデータをクラウドで共有できる技術を導入することで、現場技術者の省人化・省力化と監督員による検査のリモート化を併せて実現する。2021年度に直轄の20-30現場を対象として試行を開始。22年度には試行対象を拡大し、23年度の現場実装を目指す。
 鉄筋コンクリート構造物の出来形確認は、発注者側の監督員の立ち会いの下、受注者側の管理職員、スケール・黒板などを持つ準備補助職員が現地で直接計測している。確認の度に監督員の予定を調整して、受注者側の担当者が対応に当たる必要がある。
 国交省はICT活用による受発注者の業務効率化に向け、8日に「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測の試行要領(案)」を公表した。対象はデジタルカメラなどで現場打ちのコンクリート構造物の鉄筋組み立て時の配筋状況を撮影し、その画像データから配筋間隔を計測できる技術だ。試行は画像計測と従前のスケールによる実測を併用し、新技術の精度を確認する。
 撮影画像を解析することにより設計図書との対比が確認できれば、鉄筋へのマーカー設置など従来の準備作業が不要になる。また、計測結果は遠隔地からも確認できることから、監督職員の立ち会いも省略可能となる。
 試行は、各地方整備局2-3現場ずつで実施する。費用は発注者指定の場合、計測機器の賃料や通信費などを技術管理費に積み上げ計上できる。受注者希望の場合は全額を受注者が負担する。
 画像分析による鉄筋の出来形確認に関連した技術は、政府の官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)などを活用した「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」により、開発を進めてきた。現状、▽清水建設▽IHIインフラ▽鹿島▽三井住友建設▽JFEエンジニアリング–を代表とする5つのコンソーシアムが保有する技術が試行要領案に対応できる。
 試行要領案は、コンソーシアムの技術だけでなく、類似技術の使用も適用できる内容となっている。



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