【記者座談会】コロナ禍の総会シーズン/土木学会が2次声明 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【記者座談会】コロナ禍の総会シーズン/土木学会が2次声明

A 例年なら建設関係団体の総会シーズンも最盛期という頃合いだが。

B 新型コロナウイルスの感染状況が改善されず東京や大阪など10都道府県に発令されている緊急事態宣言の再延長がきょう28日にも正式決定される。このコロナ禍とあって、感染拡大防止の観点から出席者を役員に限定するなど規模を縮小したり、ウェブ会議などのリモート開催や書面決議とする団体も相当数ある。

C 取材もままならない。各社1人に限定されるのはまだいいが、会場での取材は不可というケースも少なくない。事後の取材には応じてもらえるとしても新聞記者としてはちょっとやるせない。

D 宮本洋一会長を新任した日本建設業連合会のように、ことしは改選期でトップ交代が予定されている団体も多いからね。対面取材ができれば肉声を聞き取ることで意欲や熱意も直に感じることができるけど、オンラインや後日取材となると確かに気勢がそがれる感はある。

B なにより痛いのは懇親会が中止となったことだ。もちろん状況が状況だから当然ではあるのだけれど、われわれに限らず生きた情報収集という意味でこの機会消失は大きな痛手だよ。

D 情報も人を媒介するからね。思わぬ人に出会ったり、新たな気づきを得られるという点でも貴重な場であり時間だった。それにしても建設関係だけでなく、あらゆる産業・分野の団体がこぞって懇親会を中止しているわけだから、わが国経済への打撃もかなり大きいだろう。

C 24日から国や自治体によるワクチンの大規模接種が始まったが、今後いかに接種率を高めていけるかが結局は収束へのかぎを握っているといえそうだ。

ポストパンデミック時代に必要な具体的取り組みを盛り込んだ2次声明公表に合わせて会見が開かれた(24日、東京都新宿区の土木学会講堂)

◆ポストコロナの新たな目標設定の転機に

A ところで、その24日に土木学会は「COVID-19災禍を踏まえた社会とインフラの転換に関する第2次声明-新しい技術と価値観による垂直展開-」を公表した。具体的な内容は。

E 2020年7月に公表した第1次声明以降の行動変容や技術革新・導入の実態を踏まえ、「ポストパンデミック時代」に必要な具体的取り組みを盛り込んだ。学会の家田仁会長が委員長を務めるパンデミック特別検討会で議論してきた「新たな価値の時代の社会とインフラのあり方」を、感染症リスクの視点に立った強靭な社会づくりへの転換や、感染症との複合災害への備え、建設生産システムでの感染症対策のさらなる推進など6項目に分けて整理している。

B 建設生産システムでの感染症対策推進では、建設現場の感染リスク低減に向けた省人化技術の浸透などを図るため、感染対策に主眼を置いた安全性についても総合的に評価する仕組みを推進すべきと強調している。現場で感染拡大が続く状況でも事業を継続させるためには、安心して活動できる体制の構築が必要とし、建設従事者がPCR検査をする際に公費助成する仕組みの構築も提言している。

E 学会は、コロナ禍をこれまでの「規模拡大、集中投資」から脱し、次代の社会とインフラのための新しい目標を設定する転機として捉えている。2次声明の公表をもって特別検討会は役割を終えるが、声明に盛り込んだ取り組みを1つずつ実行に移すとともに、引き続き産・官・学と協力してオープンな議論を重ね、社会に向けて提言を発信し続ける。



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