【記者座談会】コロナ禍の総会シーズン/建設業21年労災発生状況 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【記者座談会】コロナ禍の総会シーズン/建設業21年労災発生状況

A コロナ禍での総会シーズンも3年目だ。雰囲気はどうか。

B 完全オンライン開催という団体もまだあるが、昨年に比べてリアルでの会場開催が多い。ただ、ほとんどは総会への参加人数を絞り、極力、委任状の提出や議決権行使を求めることで会場の密を避けるなど感染症対策に留意している。リアルとオンラインのハイブリッド開催も多い。

C 3年ぶりに対面形式で開いた団体の中には会長交代して初めて会員の前であいさつしたというシーンも見られた。「雑談はアイデアの宝庫」とも言うが、やはり実際に相対して話すことで得られることも多いなと実感するよ。

D 総会後の懇親会を見送る団体は依然として多く、開催に踏み切ったところも参加人数を制限するケースがほとんどだ。会員限定で、われわれメディアの参加は不可ということも少なからずあった。

C 団体名は出せないが人数を制限しながらも立食方式で開き、コロナ前に戻ったのではと錯覚するくらいにぎやかだった団体もあった。感染者が出てしまったらどうなるんだろうと冷や汗ものだった。

B 大手業界団体の総会では、3年ぶりの対面開催、さらには懇親会開催ということで、かつての盛り上がりが戻ってきたように感じた。支部総会も地域によっては結構な人数が集まり、「昔の建設業界らしい光景が戻ってきた」ともらす幹部もいたよ。

D ただ、広い会場を確保した上で、懇親と食事のエリアをきっちり区別するなど、感染対策は徹底している。仮にこのような場でクラスターが発生しようものなら大変なことになる。それだけに万全の上に万全を期しているのだろう。

C 取材する側としては、業界首脳や政治家、省庁幹部の話を直接聞けるのはやはりありがたい。記事にはできないオフレコ発言は、専門紙記者の好物だしね。

死亡・死傷が増加 高齢化・人材不足影響

 
A ところで6月は「全国安全週間」の準備月間となる。建設各社の安全大会を取材する機会も増える時期だが、建設業の労働災害状況はどうなっているのだろう。

E 厚生労働省の2021年(1-12月)労災発生状況確定値によると、建設業の労災による死亡者数は、4年ぶりに増加に転じ、前年比11.6%増の288人となった。休業4日以上の死傷者数も3年ぶりに増加し、7.4%増の1万6079人だった。中長期的に続いていた減少傾向に歯止めがかかった形だ。

D 建設業での労災増加は、慢性的な人材不足、労働力の高齢化が進んでいることなどが影響しているとみられている。近年は特に高年齢労働者の労災や、転倒・腰痛など作業行動に起因する労災が顕著に増加している。これは、建設業に限らず、他産業でも変わらない。建設現場の管理者からは、危機意識の低下や作業の慣れを要因として指摘する声も上がっている。

E 労災統計の死亡災害発生状況には含まれない建設業での「一人親方」の死亡者数は51人だった。「墜落・転落」が38人と突出して多い。また、新型コロナウイルス感染による建設業労災が1153人いた。建設業で働く外国人労働者の死傷者数が前年と比べ17.2%増と大幅に増えているのも特徴だ。

C 東京都内の現場ではことしに入ってからも死亡・死傷災害の増加傾向が続いている。東京労働局は「極めて憂慮すべき事態」として、建設工事関係者への安全の取り組み強化はもちろん、発注機関に対しても十分な安全衛生経費の確保や適切な工期設定などを要請している。

E ことしの全国安全週間のスローガンは「安全は急がず焦らず怠らず」だ。これから暑い夏を迎えるが、普段からの不断の努力が実を結ぶことを切に願いたい。

東京労働局は5月30日に開いた建設工事関係者との連絡会議で都内の工事現場での死亡・死傷災害の増加傾向に「極めて憂慮すべき事態」という認識を示し、発注者、施工者、行政の3者による緊密な連携の必要を訴えた

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