【ホログラフィックで視界と情報を共有】小柳建設が日本マイクロソフトと共同でプロジェクト「ホロストラクション」を推進  | 建設通信新聞Digital

4月26日 金曜日

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【ホログラフィックで視界と情報を共有】小柳建設が日本マイクロソフトと共同でプロジェクト「ホロストラクション」を推進 

 「建設業の働き方を根本から変えていきたい」。小柳建設(新潟県三条市)の小柳卓蔵社長は力を込める。業務効率化や生産性向上を目指し、同社が日本マイクロソフトと共同で推進するプロジェクト「Holostruction(ホロストラクション)」。ホログラフィックを活用した同アプリケーションには新たな機能も加わり、発注者との協議でも迅速な合意形成に貢献している。2019年には設計事務所や施工会社などを対象にホロストラクションのサービス提供を目指す。
 ホロストラクションは、ゴーグル型のMR(複合現実)デバイス「HoloLens(ホロレンズ)」を活用して、構造物の3次元データを基にしたホログラフィックを現実空間に表示する。複数人や遠隔地の人とも視界や情報を共有しながら協議でき、直感的な理解やコミュニケーションの円滑化につなげる。

ホログラフィックで構造物の3Dデータや書類などを確認できる

 時間軸を組み合わせて調査・測量から設計、施工、検査、維持管理のあらゆるデータをホログラフィックとして表示できるタイムスライダー機能や、協議・検査に必要なデータと書類を表示するドキュメント機能なども備える。
 17年4月に両社がホロストラクションの推進を発表して以降、さらに3つの機能が加わった。その1つがコンテンツビルドシステムだ。これまで3Dデータをホログラフィック化してアップロードするためには、専用ソフトによるデータの書き換えが必要となり、その作業に数日間を要していた。コンテンツビルドシステムは3Dデータを数分でアップロードできる。設計変更やデータの入れ替えなどにも即時に対応可能で、さらなる効率化を実現する。また、サムネイル表示部分を広げて視認性を高めるなどドキュメントの機能も拡張した。ホロストラクションに格納できるプロジェクト件数は従来の1件から3件まで増加した。
 現在は実証として、実際のプロジェクトで発注者との協議に適用している。これまでは2次元図面の作成や補足図など資料作成に時間が掛かっていたが、ホロストラクションによる効率化で施工日数の大幅な削減を見込んでいる。
 小柳社長は「社員から『なくてはならない』という声も聞こえており、効果的だと実感している」と話す。建築では同社が受注した設計施工案件で顧客との情報共有に活用し始めている。
 両社がホロストラクションで協業するきっかけとなったのは小柳社長の「将来の働き方を変えたい」という強い思いから。「例えば、内勤は出社しなくても仕事ができるようにする」ためには、同社のあらゆるデータのフルクラウド化が必須だと感じていた。フルクラウド化に当たり、マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」の利用から両社の取引が始まった。
 16年7月に小柳社長は北米で開かれたマイクロソフトのイベントに参加、そこで航空会社が実施したホロレンズのデモを見学した。飛行機の精密なエンジンがホログラフィックとして表現されている様子を目の当たりして「まさに建設業のためにあるデバイス」だと直感した。即座に日本マイクロソフトに声を掛けたことからプロジェクトが始まった。

小柳社長(右)と平野拓也日本マイクロソフト社長。2017年4月に両社の連携を発表した

 同社は12-14日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれた「第3回スマートビルディングEXPO」に出展。多くの人がブースを訪れるなど関心の高さをうかがわせた。

スマートビルディングEXPOの同社ブースには多くの人が訪れた

 ホロストラクションのサービス提供について小柳社長は「遅くても来年冬には開始したい。(ホロストラクションで)働き方を変えられることを実証することがわれわれの使命だ」と意気込む。

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