【BIM/CIM未来図-ホロストラクションの進化-小柳建設㊦】空間マーカーでMR上に記録 協議内容を分かりやすく共有 | 建設通信新聞Digital

4月27日 土曜日

B・C・I 未来図

【BIM/CIM未来図-ホロストラクションの進化-小柳建設㊦】空間マーカーでMR上に記録 協議内容を分かりやすく共有

 小柳建設(新潟県三条市、小柳卓蔵社長)が「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」の採択現場で試行したもう1つの技術は、MR(複合現実)上での空間マーカーだ。この技術はMRの3次元モデル上に協議で決めた事項などを記録できる。議事録作成にかかる時間を削減できるほか、工事関係者の認識の齟齬(そご)を防ぐことにつながる。

空間マーカー技術の導入で協議内容をMR上に残せる


 同社は、2020年度の同プロジェクトの採択工事で、MRを活用したソリューション「ホロストラクション」を使って発注者と現場事務所などをつなぎ、遠隔で書類や現場を検査する取り組みを試行した。生産性向上に寄与することを実証した一方、中靜真吾専務取締役COOは「MR上で打ち合わせするため、言った言わないの問題が課題として浮かび上がった」と話す。協議結果を効率的に共有するため、その場でMR上に分かりやすく記録する方法が求められた。

 そこで、同社はMR上に記録ができる空間マーカー技術を導入し、同プロジェクトの現場で活用した。線や円などをさまざまな色でMR上に記すことが可能で、会議参加者は手書き感覚で3次元モデルに記録ができる。例えば、試掘場所の指示をマークするなど作業の位置や範囲、施工に当たって注意する個所などを視覚的に示せる。自分の目線でキャプションを残すこともでき、議事録作成にかかる時間の削減や、工事関係者間での効率的な認識共有に貢献した。

 今回の試行で効果を実証した空間マーカー技術は、今後ホロストラクションに標準装備される予定だ。

手書き感覚で記録が可能


 同社は3年連続での同プロジェクトの取り組みを通じて、ホロストラクションの機能に磨きをかけている。既に同社では施工中の現場の4-5割に導入するなど、その活用が定着している。ホロストラクションの今後について中靜専務は「実務の世界でより活用の幅を広げて生産性を上げていきたい。まずはゼネコンとして自社の生産性を高め、顧客からの要望があれば広く展開したい」と語る。和田博司innovation推進部長CIOは「実際の業務から出た課題を改善する機能を追加していきたい。建設生産プロセスにおける設計・計画段階や施工、検査段階だけでなく、調査や維持管理段階を加えた全体でシームレスにMR技術を活用できるようになればより良くなる」と先を見据える。ホロストラクションの可能性はさらに広がりを見せている。



建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら