【保育園+障害者施設】子どもも大人も障害があっても一緒に ケー・アール建築研究所 | 建設通信新聞Digital

5月2日 木曜日

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【保育園+障害者施設】子どもも大人も障害があっても一緒に ケー・アール建築研究所

外観CG

 「障害の有無にかかわらず地域の中であたりまえに生活する」を法人の基本理念とする、なごみ福祉会から声をかけてもらい、東京都世田谷区の北烏山地区に保育園と障害者施設を隣接して建てる計画に携わることになった。
 敷地は道路も狭い住宅密集地の中心。敷地の北側に2階建ての住宅が並ぶ厳しい立地条件の中に、3階建て約1100㎡の保育園と障害者施設を立て続けに建設するということで、交通や日影、騒音や安全面など設計に当たり、解決すべきさまざまな課題が浮かび上がった。設計の初期段階から近隣住民と真摯(しんし)に向き合い、対話の中で一つひとつ課題を解決していくことで、近隣からの理解も得ることができ、いまでは地域に愛される建物が完成した。
 北側の住宅に配慮して、2階・3階はそれぞれ建物北側をセットバックさせて住宅への日照を確保した。杭は近隣への負担が少なくなるよう、重機が小型で騒音・振動が小さい羽根付き鋼管杭を採用した。建物は前面道路から2m後退させ、歩道状の空地を設けることで園児や近隣の安全性に配慮した。
 また、法人の理念に基づき、保育園と障害者施設の建物を中庭を挟んで向かい合わせ、2棟の間にはあえてフェンスを設けず、自由に行き来できる空間とした。双方の建物の利用者や保護者にも法人の理念は受け入れられ、障害の有無にかかわらず子どもも大人もあたりまえに一緒に生活する場ができた。
(ケー・アール建築研究所 中江 伸也)

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