【鹿島の超高層解体技術「スラッシュカット工法」】 世界貿易センタービルに適用 | 建設通信新聞Digital

5月17日 金曜日

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【鹿島の超高層解体技術「スラッシュカット工法」】 世界貿易センタービルに適用

 鹿島は、超高層ビルの新たな解体工法「スラッシュカット工法」を開発した。粉じんの飛散・風散や騒音が発生するスラブ切断などの作業は外壁で囲まれた建物内部の密閉空間内で完結し、切断した大割ブロックは建物内部に設けた開口部からつり下ろして解体するため、周辺への影響を最小限に低減。解体する建物としては国内最高(162m)となる東京・浜松町の世界貿易センタービルディングの解体工事に適用する。13日に報道関係者に現場を公開した。
 世界貿易センタービルディングは複数の鉄道駅・線路に近接し、歩行者や車の交通量が多いため、解体ガラの外部への落下や風散・飛散の防止、近隣への粉じん飛散、騒音に関する対策を通常以上に徹底する必要がある。重機を最上階に乗せて解体する階上解体工法は、落下リスクや最上部での粉じん飛散のために適用が難しく、従来のブロック解体工法を採れば、仮設支保工の存置量が多くなるため、コストの増加や工事期間が長くなってしまうといった課題がある。
 コスト・工期を抑えながら、リスクを最小限にするため、鹿島は仮設支保工の存置を必要としないブロック解体工法「スラッシュカット工法」を開発。密閉された建物内部で「斜め切断カッター」によりスラブを先行解体し、躯体を切断して大割ブロック化する。ブロックは建物内部の大型揚重開口からつり下ろし、地上階で小割解体する仕組みだ。
 複数の新技術を組み合わせることによって成り立つが、一番のポイントは斜めにスラブを切断できる「斜め切断カッター」。垂直ではなく斜めに切断することで、切断後は隣接するスラブが荷重を支えるため、階下にスラブの落下を防ぐ支保工を存置する必要がない。下層階の床解体に先行して着手できるため、7日程度かかる1タクトを5日に短縮した。工期全体で1割程度の縮減効果を発揮し、一般的な解体工法と遜色ないコストを実現できた。

斜め切断カッターによる先行解体


 切断した大型ブロックは新たに開発した4点自動つり上げ装置で建物内部の大型揚重開口からつり下ろす。大割ブロックを水平な状態で揚重できるため、作業員の高所作業を低減できる。地上階につり下す際の大割ブロックの姿勢は遠隔操作で制御し、安全な姿で着地させて搬出作業時間の短縮も図る。
 同社で実績のある「鹿島カットアンドダウン工法」と合わせて活用し、超高層ビルの解体ニーズに応えていく。

4点自動つり上げ装置で建物内部の開口部から大割ブロックを下ろす



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