【レーザー打音検査 鉄道トンネルに拡大】 劣化進行を定量評価/建技ら | 建設通信新聞Digital

4月24日 水曜日

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【レーザー打音検査 鉄道トンネルに拡大】 劣化進行を定量評価/建技ら

 建設技術研究所は、道路トンネルのロボット点検技術として社会実装を進めてきた「レーザー打音検査装置」の適用範囲を拡大し、鉄道トンネルの覆工コンクリートに対する診断支援に活用した。目地部に着目し、内部に欠陥のある異常範囲を確認したほか、定量的なデータとして記録した。こうした記録を継続的に取得することで、変状の劣化進行に対する定量的な評価が可能になるなど、点検・維持管理活動の効率化や高度化に寄与することが期待される。

鉄道トンネル目地部のレーザー打音検査


 同社は、量子科学技術研究開発機構(QST)認定・理研ベンチャーのフォトンラボ(東京都中央区、木暮繁代表取締役)と業務提携契約し、QSTとの共同研究により、内閣府が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の研究成果である「レーザー打音技術」を、道路トンネルの定期点検業務の診断支援技術として本格的な社会実装を進めている。

 今回は、これまでの取り組みで得られた経験や知見を生かし、鉄道トンネルの覆工コンクリート目地部に対してレーザー打音検査装置を使った計測と診断支援を実施した。
 道路トンネル点検時には、4tトラックに載せていた同装置を、鉄道トンネルの保守用のトロ台車に分散して配置し、鉄道トンネル内に運搬した。従来の人力打音検査で性能低下の恐れがある変状と診断された範囲の計測を行い、内部に欠陥のある異常範囲を確認するとともに、定量的なデータとして記録した。
 次回点検時などでレーザー打音検査装置による計測を行い、振動スペクトルの変化の有無を観察することで変状の劣化進行に対する定量的な評価が可能となり、コンクリートのはく落につながる劣化の進行度を診断することが期待できるという。
 また、記録を継続的に取得することで、従来は人が行う近接目視点検の範囲を事前に絞り込むことができ、点検・維持管理活動の効率化、高度化に寄与するとしている。
 今後、さまざまな変状に対する診断能力を高めるとともに計測時間の短縮を図るなど、さらなる効率化、高度化に向けて開発を進めていく。



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