◆観光立国再生の一助に
森トラストは、奈良市の奈良公園隣接地で建設中のホテル「(仮称)奈良吉城園計画」の名称を「紫翠 ラグジュアリーコレクションホテル 奈良」に決めた。京都などで展開する「翠 SUI」ブランドを冠し、マリオット・インターナショナルの「ラグジュアリーコレクション」とのダブルブランドとなる。2023年夏の開業を目指す。
同社は、17年に奈良県の吉城園周辺地区保存管理・活用事業の事業者に選定され、施設整備を進めている。規模は2階建て延べ4411㎡で、客室数は43室。建築設計を大成建設、設備設計を建築設備設計研究所、設計監修・インテリアデザインを隈研吾建築都市設計事務所、施工を大成建設ときんでんが担当している。
伊達美和子社長は「観光立国を再生する時であり、その一助になれば」とした上で、「コロナ禍で第1期の施設規模を縮小し、将来的に増築できる場所を確保した」とし、今後、1-2棟の宿泊棟増築を想定している。
◆既存の地形・配置を尊重/森トラストの伊達美和子社長
森トラストが整備する「紫翠 ラグジュアリーコレクションホテル奈良」は、約2万9700㎡の敷地に8棟の施設を配置する。旧知事公舎や旧世尊院、吉城園の3棟は保存利用し、新築の宿泊棟2棟、旧建物の一部を活用しながら新築する建物1棟などを配置する。
伊達美和子社長は「翠 SUI」ブランドについて「地域の特徴を最大限生かし、地域の色に染まることを目指している」とした上で、吉城園も「既存の建物を活用し、地形も含めて奈良公園になじむ建物にしたい」とした。計画当初は「別の地域からの建物の移築も考えた」とするものの、「吉城園が整備された当時の配置には意図があると考え、できる限り触らず庭園も含めて既存の地形・配置を尊重した」と強調した。その意味で、設計監修に隈研吾建築都市設計事務所を起用したことについても「外の自然を引き込み、建物内外の融合が可能な方だ。ナチュラルなデザインで、エリアの価値を理解して新築棟の配棟を考え、関係性を整理してもらえた」とした。
客室は、「グローバルスタンダードの居心地を確保しつつ、完全に和風ではなく、ウエスタンスタイルでありながら、風景になじむ空間にした。知事公舎などの大正モダンの要素も内装に表現した」とする。
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