JR東海は、大規模災害発生時に構造物の状態を早期に把握するため、ドローンの活用を検討している。9日に静岡県三島市の三島車両所で総合事故対応訓練を行い、この中で、ドローンを活用した構造物の点検を初めて実施した。
通常、災害発生時の構造物点検では、目視確認のほか高所作業車などを使用する。しかし、高所作業車は手配に時間がかかる。このため、コンクリートのひび割れや橋桁の状態を早期に把握することを目的に、ドローンの導入を検討している。
土砂や岩石などの自然物は、2021年8月の中央線内、ことし5月の飯田線内の状態把握にドローンを活用した。構造物の状態把握では未活用となっている。
訓練では、地震発生を想定し、車両の早期運転再開に必要な構造物の調査や健全度を判定する試験を実施した。ドローンを操作・監視する「ドローン班」、司令塔となる「復旧本部施設班」、高架橋基部への影響を確認する「衝撃振動試験班」の3班に分かれて、地震発生から現場状況の把握、各種点検など一連の流れを訓練した。
JR東海の辻󠄀村厚常務執行役員新幹線鉄道事業本部長は「ドローンの画像が鮮明で、災害時だけでなく、日常の点検でも使えると思う。ドローンは雨や風など悪天候時に飛行することができないため、実用化に向けて議論を進めていく」と話した。
総合事故対応訓練は、大規模災害や不測の事態に備え、同社やグループ会社の社員が毎年合同で実施している。35回目となる今回は約770人が参加した。地震を想定した構造物健全度判定訓練のほか、飛来物除去訓練、線路設備復旧訓練、警察との連携訓練などを実施した。
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