【BIM未来図~地域建設業はいま~】ブレンスタッフ(中)「dpc」への転換 社内に相互理解/地元建設会社にも道筋示す | 建設通信新聞Digital

5月21日 火曜日

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【BIM未来図~地域建設業はいま~】ブレンスタッフ(中)「dpc」への転換 社内に相互理解/地元建設会社にも道筋示す

総合設計事務所のブレンスタッフ(山形県鶴岡市)が、独自ビジネスモデル「dpc(デジタル・プレ・コンストラクション)設計マネジメント」の考え方に基づき、社内体制を確立している。仲川昌夫代表は「われわれの設計は単に仕様を決めるものではなく、部材の工場製作への連携を見据え、施工図レベルまで作り込む」と強調する。

従来は設計者とCADオペレーターが連携していたが、dpcの確立に向けて設計者やBIMモデラー、BIMマネージャーが密接に連携する枠組みに移行した。BIMを軸に3者間で設計の最適解に導く枠組みを確立している。

BIMマネージャーは建築主だけでなく、設備設計や専門工事会社などのパートナーシップ企業との窓口を担う。BIMモデラーは全体の取りまとめ役である設計担当と連携しながらモデル作成とともに設計図などの切り出し作業を行う。意匠設計グループの原拓也グループリーダーは「専門工事会社とつながった設計が当社の強みであり、本来であれば施工者が担う事前検討の部分まで支援できる」と説明する。

モデリングは施工図レベルまで作り込む


dpc設計マネジメントへの転換により、BIMへの意識も広がり始めた。BIMソフト「Revit」を主要ツールに位置付け、社内教育に力を注ぐ中で「5年前にdpcの考え方を示したことがきっかけとなり、社内の相互理解が一気に進んだ」と仲川氏は手応えを口にする。ことし1月に建築事業部の社員を対象にした意識調査では、全体の96%がBIMを現場で活用できると考えており、全体の約6割が実際にBIMの導入で業務軽減につながったと感じている。

BIM活用を先頭に立って進める構造設計グループ木造設計チームの庄司直子プロジェクトリーダーは「これからはRevitの設計データを木材加工機に連携する枠組みを構築していく」と意気込みを語る。意匠設計グループの高橋寛プロジェクトリーダーは「現在は試行錯誤の段階だが、これからはモデルデータを積極的に活用し積算の省力化も進める」と先を見据える。

仲川代表は「この5年で社内外へのdpcに対する理解が進み、どうやればより合理的に業務を進めれるかを社員一人ひとりが意識するようになった」と話す。dpcを広く業界に周知するツールとして営業パンフレットを作成し、建築主や建設会社、専門工事会社などへのPRにも力を注ぎ、2019年には商標登録も完了した。

dpcのパンフレット


大手・準大手クラスなどの全国ゼネコンからはBIM業務の支援役として連携するケースが着実に増えているが、地元建設会社とのBIM連携は実現していない。仲川氏は「BIMへの関心は高まり、積極的に取り組みたいという地元建設会社のトップも多いが、最前線の現場は日々の仕事に追われ、BIMにチャレンジしたくてもできない状況に陥っている。社員の高齢化もあり、BIMへの対応が難しい状況となっている」と分析する。

同社が手掛けた山形県鶴岡市の市立先端研究センター設計業務では、BIMモデルを土台に、地方の建設会社が施工で活用しやすいBIMワークフローを検討し、活用に向けた方向性を提言として示した。「地元の建設会社がどのようにBIMと向き合えばいいのか、われわれがその道筋を示したい」と力を込める。



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