【現場の紙とペン不要に 大河津分水「令和の大改修」のDX】データのみで出来形確認 | 建設通信新聞Digital

5月16日 木曜日

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【現場の紙とペン不要に 大河津分水「令和の大改修」のDX】データのみで出来形確認

大河津分水路「令和の大改修」におけるDXの取り組み *出典:信濃川河川事務所

 北陸地方整備局信濃川河川事務所が所管する大河津分水路改修事業の山地部掘削で、ICT施工(ICT機器)から得られるデジタルデータのみを活用した出来形確認が実現している。データ上で施工管理と工事監督が可能なため、受発注者双方の生産性向上に大きく寄与するとともに、現場の必須ツールである紙とペンが不要となる。DX(デジタルトランスフォーメーション)の観点からも「令和の大改修」にふさわしい土木工事の姿へと進化している。

 事業全体が国土交通省の「3次元情報活用モデル事業」に位置付けられており、第二床固の改築や野積橋の架け替えに限らず、山地部掘削でもICT施工やBIM/CIMを全面展開している。

 その一環として、出来形確認もデジタル化を進める。具体的には、ICT建機の施工履歴データとなる3次元測量点群データを受発注者間で共有し、監督員が工事情報共有システムを通して3次元設計データと重ね合わせて掘削土量を確認する。立ち会い回数や移動時間、書類の削減に加え、遠隔臨場で生じる受注者側の準備負担が解消されることから、受発注者間の業務効率化につながっている。また、“紙とボールペンは持たない”施工管理と工事管理は作業風景に変化をもたらす。

 このほか、第二床固などの整備ではCIMモデルを活用した迅速な意思決定、合意形成の円滑化に取り組んでいる。

 同事業は、洪水時の流下能力を高めるため、河口部に向かって狭くなる川幅を現行の約180mから約280mまで拡幅する。

 2022年12月に信濃川水系河川整備計画が変更され、整備目標は戦後最大規模となった「19年東日本台風と同規模の洪水」に引き上げられた。これを受けて、事業期間は15-38年度へと6年延長(変更前は32年度)した。全体事業費は約1200億円から約1765億円に増額した。山地部と低水路の掘削量も増加しており、事業区間(8.2㎞)の進捗率は約11%に上る(22年11月現在)。

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