【ワークマン "労働寿命"延伸に挑む】「快適ワーク研究所」を設立 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【ワークマン “労働寿命”延伸に挑む】「快適ワーク研究所」を設立

◆「作業服市場にイノベーション必要」

 ワークマンは、長く元気に働ける“労働寿命”を延ばす「快適ワーク」市場に挑む。先端技術や異業種の知見を持つ企業や大学とともに、職人らが長く快適に働くための製品を共同開発する。その一環として2月に設立した「快適ワーク研究所」の柏田大輔所長は、人手不足の問題に対して「われわれが得意とする製品開発を通じて、快適な労働環境を提供することが使命だ。これに真正面から取り組む」と意気込む。既に販売中の「アシストパワースーツ」に続き、5月からはパナソニックホールディングス子会社と開発した「冷暖房服」をテスト販売する。売り上げ10億円以上に育つ大型製品の共同開発を目指すとともに、将来的には全国にある約1000店舗のネットワークを生かし、一般への普及を進める。

 初弾の「アシストパワースーツ」は、軽量で簡単に着用でき、物を持ち上げる際などに背筋の使用率を38%以上も軽減する。パワースーツはオーストラリアで着用が義務付けられているほど効果的なアイテムだが、価格は競合他社製品の半額以下となる9800円(税込み)に設定し注目を集めた。初年度で2万着の販売を見込む。

◆インナーで通年使用「冷暖房服」共同開発

インナーの上から冷暖房服を着用し、ペルチェ素子プレート(右)が肩甲骨あたりに付くようにベルトを調整する。背中側の肩甲骨あたりが少し膨れるものの目立ちにくい

 第2弾として5月から販売する「WindCore冷暖房服 ICE×HEATERペルチェベスト」は、 冷却と温熱機能を持つペルチェ素子により、冷却10度と温熱42度に切り替えが可能で、 一年を通して着用できる。インナー方式のため既存の作業服の下に着ることができ、 スマートフォンの予備電源としての使用も可能になっている。価格は1万9800円(税込み)。

 柏田所長は「年々夏が暑くなり、働く現場でも酷暑が続いている。従来の暑さ対策では限界が来ていると感じ、ペルチェ素子を使ったアクティブ型冷却が新たなトレンドとになっていたため、パナソニックホールディングス子会社のShiftall(シフトール、東京都中央区)と冷暖房服の開発を進めた」と振り返る。

 VR(仮想現実)やメタバース領域に注力するシフトールの、メタバース領域で温度を感じるデバイス『Pebble Feel(ペブルフィール)』はVRと連携せずに屋外で冷房・暖房服として使用できるが、「アパレル関連の顧客や流通チャネルを持っておらず、ワークマンからの声掛けでコラボに至った。夏に間に合うようにスピーディーに取り掛かり、製品化した」(シフトール代表取締役岩佐琢磨氏)

 建設現場では電動ファンで汗を気化させ冷却するファン付きウエアが200億円規模の市場に成長していたが、ファンの音の大きさに加え、膨れあがるための見栄えや動作性に課題があった。性能で勝る冷暖房服は3年後に50万台(100億円)を突破する」(柏田所長)と見込む。

冷暖房服について説明する柏田所長(右)。全店で「快適ワーク特設売り場」を新設し、「建設などの当社既存顧客には、陳列するだけ必ず売れる」と自信を見せる

◆メーカー、大学と「本気」のコラボ

土屋専務

 

 同社は、設立以来40年以上にわたり、作業服業界を愚直に深耕してきた。土屋哲雄専務も「作業服市場で売れるためには、これまでのような単独主義では限界があり、新しいイノベーションが必要だ。企業や大学とのコラボレーションに本気で取り組む」と語る。今後も大手化粧品メーカーとの保温肌着をはじめ、深部体温上昇をアラートし熱中症を予防する活動量計などの開発を進める。「日焼け防止、保湿、乾燥対策など幅広いテーマを対象に、世の中にはない快適ワーク新製品を投入していく」。

 「現場の職人の皆さんができるだけ健康で快適に、長く働き続けられるように、低価格かつ信頼性のある製品を今後も提案していきたい」と力を込める。





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