JR東日本高崎支社高崎建築技術センターは、高崎線熊谷駅天井内で、点群とBIMを使った「天井内空間における状況把握」の試験検証を行った。ダクトや通信ケーブルなどさまざまな設備機器が入り組む狭隘な天井内で、支障物の有無や干渉の確認に点群データから生成したBIMを活用した。約4500㎡の対象面積に対して調査日数を58%縮減する大きな成果を得ている。
今回の検証は、高崎技術センター、JR東日本建築設計、JR東日本ビルテックの3社が共同して取り組んだ。
鉄道駅舎の天井裏は、一般建築、列車運行、エキナカ店舗などの各種設備機器が収納されている。設備の故障時や改修工事における発注図面作成時には、図面の抜け漏れや位置の確認のために人力による現地調査の時間と労力が課題となっていた。今回の検証は、給排水設備と消火設備の配管改修を見据えて行うもので、既存の給排水設備、消火設備、換気設備、配線ラックを対象に現状の点群データからBIMモデルを作成する。具体的には各室、廊下およびコンコースの点検口からレーザースキャナを差し込み、天井内を測定する。ダクトや大きな配管などに隠れて点群を取得できないところでは、JR東日本ビルテックが狭所用小型ドローンを飛行させ動画映像を取得し、つなぎ合わせて点群データを作成する。
JR東日本建築設計は、点群データから3次元モデルを生成し、部分的に点群が欠けるところは専用のソフトウエアで配管や壁面の形状を半自動で結合してBIMに取り込んだ。その上で、新設する配管などの設備を3次元モデルに統合し、配管系統など一部の属性情報も入力した。宮澤隆志JR東日本高崎支社高崎建築技術センター主務は「天井内は狭隘で人が入れないところも多い。BIMモデルをつくることにより机上でできる作業が増え、作業が大幅に効率化される」と効果を語る。
作成したBIMモデルは給排水設備の改修計画や設計などに活用する予定だ。併行してJR東日本ビルテックと維持管理に必要な属性情報などの検討を進め、維持管理フェーズのBIM活用につなげる。