【川崎市・扇島地区に2兆0600億投資】先導エリア水素拠点は28年度から利用開始 | 建設通信新聞Digital

5月7日 火曜日

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【川崎市・扇島地区に2兆0600億投資】先導エリア水素拠点は28年度から利用開始

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 川崎市は、9月に予定されているJFEスチール高炉休止後の扇島地区の土地活用で、新たなまちの概成を想定する2050年度までの投資額を、官民合わせて約2兆0600億円と試算した。先導エリア約70haの一部は、水素などの次世代エネルギー供給拠点として28年度に土地利用を開始する。同エリアが概成する30年度までの投資額は約4700億円を見込む。事業手法は今後検討する。 扇島地区の土地活用対象範囲は、高炉がある扇島南地区(川崎側)約222haと同地区北側にある扇島北地区約57haの計約280ha。

 最大水深22mのバースを備えた先導エリア南側には、水素を軸としたカーボンニュートラル(CN)エネルギーの受け入れ・貯蔵・供給拠点、北側に港湾物流拠点や高度物流拠点を設ける。

 先導エリアの投資額内訳は、既存解体撤去200億円、道路400億円、港湾150億円、生活インフラ50億円、施設3900億円を見込む。このうち市の事業費は道路110億円、バース整備などの港湾80億円、生活インフラ20億円となる。

 3月には、日本水素エネルギー(東京都港区)などが、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション(GI)基金事業の一環で実施している「液化水素サプライチェーンの商用化実証」について、液化水素の受け入れ地を川崎市臨海部に決めたことを発表している。市は、商用化実証期間が30年度までであることを踏まえ、先導エリアの一部土地利用を28年度に設定した。

 先導エリア以外の地区では、スーパーシティの形成を目指す。扇島北地区と先導エリア以外の扇島南地区の一部には、羽田空港に近い利点を生かし、次世代ジェット燃料の開発・製造施設を設けるほか、次世代モビリティー関連の研究開発・製造施設の集積を想定する。空飛ぶクルマの発着場なども整備する。40年度ごろの概成を目指す。

 残りの土地は50年度ごろの概成を目指し、商業・宿泊・文化・住宅施設などを整備する。

 全体概成時までの投資内訳は、解体撤去2200億円、道路3600億円、港湾1300億円、生活インフラ400億円、施設1兆3100億円と試算している。このうち市事業費は道路1250億円、港湾600億円、生活インフラ175億円、施設25億円。水素供給拠点整備などのCN関係の事業主体は、民間を想定している。

 地区へのアクセス改善として、首都高湾岸線の出入り口(4ランプ)整備や国道357号の早期事業化に向けた国との協議・調整なども進める。

 

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