【世界初】NEDO・川崎重工業・大林組 ドライ低NOx水素専焼ガスタービンの技術実証に成功 | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【世界初】NEDO・川崎重工業・大林組 ドライ低NOx水素専焼ガスタービンの技術実証に成功

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と川崎重工業、大林組は、「水素社会構築技術開発事業」の一環で、川崎重工が開発した「マイクロミックス燃焼」の技術を使ったドライ低NOx(窒素酸化物)水素専焼ガスタービンの技術実証試験に世界で初めて成功した。あわせて、大林組は液化水素の冷熱有効活用システムの研究も実施する。

 今回の実証試験では、水素発電の発電効率向上や環境負荷低減を目的に、ドライ燃焼方式による水素専焼発電の技術を実証した。従来の水噴射方式では、NOx排出量を抑えるために火炎の高温部に水をスプレー状に噴射しており、水の蒸発で発電効率が低下する。

 ドライ燃焼方式の場合、発電効率が高くNOxの排出量が低減できるものの、燃焼速度が速い水素燃焼で火炎の逆流を抑えながら燃焼を安定させることが課題で、今回は微少な水素火炎を使うマイクロミックス燃焼を採用した。

 5月に実証試験を始め、水素ガスタービンと廃熱回収ボイラーを組み合わせたコージェネレーションシステムから約1100kWの電力を供給し、あわせて約2800kWの熱エネルギーを蒸気や温水として周辺公共施設に供給できる。2020年度末まで実証運転を続けて性能を検証する予定で、水素と近隣施設で利用する熱・電気を総合管理する統合型エネルギーマネジメントシステムの実証も今秋から実施する。

 大林組は、マイナス253度(1気圧)の液化水素の冷熱を有効活用するシステムも研究する。ガスタービンの運転に必要な水素は、液化水素を蒸発器で気化して取り出すものの、蒸発器から放出する冷熱のエネルギーを有効利用できていない。ガスタービンは夏季に発電出力が低下する課題や液化水素の蒸発器と外気との温度差による着霜による運転停止といった課題もある。

 今回研究するシステムでは、液化水素を気化した時の冷熱をガスタービンの吸気冷却に活用し、電力需要の高い夏季の発電出力と発電効率を向上できる。中間熱媒体(プロパンガスなど)で液化水素から冷熱を取り出すことで蒸発器の着霜を回避でき、連続運転も可能になる。実用化されれば、液化水素の冷熱を無駄なく活用できる。

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