【BIM2023⑤】東鉄工業 改修工事の施工BIM | 建設通信新聞Digital

5月13日 月曜日

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【BIM2023⑤】東鉄工業 改修工事の施工BIM

部分BIM活用が改修工事に成果

柏木氏


 東鉄工業は、駅関連工事の多くを占める改修や増改築に適した施工BIMを推進している。納まりや干渉、施工手順など工事の中で確認したいところだけを部分的に点群とBIMを重ねて3次元モデル化し、施工検討会などの情報共有や合意形成の円滑化で成果をあげている。

 BIMを使った施工検討会を積極的に開催している東京建築支店では、現場から要請があればすぐにBIM担当者がモデルを作成して提供する体制を敷いている。会社が社員に配布しているノートパソコンでも使いやすいよう、データが重い場合はPDFに貼り付けて提供するなど工夫しているのが特徴だ。

 同社のBIM活用を推進する柏木幸基建築本部建築設計・エンジニアリング部担当部長は「老朽化したホームの上家工事などは図面がないこともあり、点群で現状を再現し、新築部分のBIMを重ねて既存設備との干渉などをリアルに確認し、事前に問題を解決することができる。駅全体をBIM化するとデータが重くなるが、部分的なモデルであればデータは軽いため、ノートパソコンでも動かせる」とメリットを挙げる。

 より手軽に点群を活用できるようにするため、スマートフォンなどで使えるLiDAR(レーザー式測距装置)の導入に向けた検討も進めている。「社内のシステム部門と連携し、クラウドに点群を読み込んでBIMと連携して使えるようにしたい」と見据える。

BIMと点群を部分的に統合して活用する


 同社は施工BIMの連携拡大にも力を入れる。JR東日本が進めているある駅の建て替え工事では、CDE(共通データ環境)を介して設計、施工、維持管理の一気通貫のデータ活用を目指しており、東鉄工業の施工部門では協力会社とのデータ連携がテーマになる。「BIMに前向きな協力会社を選び、データ連携に取り組む。専門工事会社がBIMを使って仕事を効率化する仕組みをともに考えながら進めたい」と協力会社のBIM活用を支援する考えだ。

 JR東日本のグループ企業間の意見交換も積極的に行い、次工程とのデータ連携も強化するため、「維持管理に必要なモデルの在り方なども共有し、当社のBIMを前進させたい」と力を込める。



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