【中国のコンペ当選】杭州市の市街地開発計画 三菱地所設計 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【中国のコンペ当選】杭州市の市街地開発計画 三菱地所設計

東南側より見た開発エリアの全景。銭塘江の北岸に位置し、地下鉄9号線の五駅を新設する


 三菱地所設計は10日、中国浙江省の省都・杭州市東部の新CBD(中心業務地区)である銭江新城の開発計画「杭州市銭江新城二期産業本部核心区都市設計」に関するコンペに当選したと発表した。新設する五つの鉄道駅を中心としたエリアごとに地域の歴史的価値を生かし、それらの機能・用途が融合しながら連続する「Super Mix」と呼ぶ未来のまちづくりを提案した。

 コンペは杭州市都市建設投資集団が主催し、三菱地所設計・深せん市蕾奥(LAY-OUT)規画設計諮詢JVが当選した。

 開発エリアは中国最大の駅の一つである杭州東駅から約8㎞、杭州蕭山国際空港から約30分の距離にあり、杭州~上海~蘇州の「長江デルタ地帯」の重要な位置を占める。科学技術イノベーションやスマート製造分野といった将来の発展が期待される地域であり、「産業の集積地をつくる」という目標に対して「4レイヤー×5ハブ+1システム」という開発構成を掲げた。

 都市に求められる四つの機能として、▽地域を生かす歴史・文化機能▽生態景観の機能▽市民活力の機能▽交通機能を支える街のストラクチャー–を「4レイヤー」と表現し、その「4レイヤー」機能の集合体となる五つの駅を核とした拠点を「5ハブ」と呼称。「1システム」は街の持続的な発展に必要な運営管理プログラムを指す。レイヤー、ハブの間にはこれらを有機的に融合する「中間領域」を設け、人が集い、生まれる交流により持続的に発展する未来のまちをつくる。

 エリアごとの特徴を見ると、杭州東駅と杭州蕭山国際空港を結ぶ地下鉄駅として新たに設ける「御道駅」にはゲート機能をもたせる。南側に流れる銭塘江をはじめ、豊かな自然環境を迎え入れるような親水・緑地空間を計画。ランドマークとなる御道駅から五堡駅・六堡駅へとゆるやかに低くなるスカイラインを描き、杭州の歴史や文化に基づくエリアそれぞれの風格と特徴を楽しめる都市風景をつくる。

 「五堡駅」は周辺に科学技術系の企業本社や関連企業が集積することから、ここで生まれる革新的な製品や、まちの魅力を世界へ発信するエリアとする。地上・地下の通路や空間を積極的につなぎ、建築物と公共空間の間に設けた中間領域でイノベーションとコミュニケーションを生む立体的な広場空間を創出する。

 研究開発を中心とした革新的な企業が集まる「六堡駅」は、企業活動のエコ・省エネの実証拠点「ゼロカーボン都市」のモデルとして、緑豊かな環境と調和する空間を構築する。緑と建物の中間領域として交流空間を整備し、ユーザーの感覚を刺激してイノベーションを促す。

 プロジェクトの敷地面積は都市計画検討範囲が約970ha、核心区都市設計範囲が約100ha、要点エリア詳細設計範囲が約22.2ha。開発面積(建築設計範囲)は約19.3万㎡。用途はオフィス、商業、ホテル、サービスアパートメント、文化施設となっている。


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