【岐阜・坊方で国内初実証実験】トンネル無人掘削、遠隔操作/安藤ハザマと三井三池製作所 | 建設通信新聞Digital

5月17日 金曜日

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【岐阜・坊方で国内初実証実験】トンネル無人掘削、遠隔操作/安藤ハザマと三井三池製作所

AI-ロードヘッダによる自動掘削


 中部地方整備局高山国道事務所は21日、岐阜県高山市内で進めている中部縦貫自動車道高山清見道路「坊方(ぼうかた)トンネル」の工事状況を報道陣に公開した。現場では、施工者の安藤ハザマと三井三池製作所が共同で、遠隔運転と自動掘削の機能を備えたICT建機『AI-ロードヘッダ』の実証試験を実施した。両社によると、この新技術を実際のトンネル工事で試行したのは国内で初めて。

 当日は、切羽付近で無人の建機がプログラムに従って断面を掘削する模様や、坑口前の遠隔操作室で家庭用ゲーム機のコントローラーを使い建機を操作する様子を披露した。

遠隔操作の模様


 AI-ロードヘッダは、自由断面掘削機の移動から掘削までの一連の動作を遠隔操作室から行う機能と、周囲を各種測器で計測して周辺状況を認識し、無人で掘削する機能を併せ持つ。

 この技術を活用することで、山岳トンネル工事で最も危険な切羽での有人作業が減り、安全性が高まる。掘削するヘッド部の位置関係をモニターに示す掘削アシストシステムも装備しており、経験の浅いオペレーターの作業を支援することもできる。

 これまでは三井三池製作所の工場内で開発を進めていた。今回、同事務所の協力を得て、約2週間にわたり、同トンネル現場で新技術による実掘削を行い、AI(人工知能)活用のためのデータを収集した。今後は、従来の建機を使って掘削を進める。

 同事務所の小林知成工務課長は「このトンネルは岩質が柔らかく、発破を使わず機械のみで掘削するため、自動運転の実証に適していた」と説明した。安藤ハザマの山根丈所長(監理技術者)は「この技術は現場の安全性向上と省人化に寄与する。熟練技能者が減る中、働き方改革や担い手確保にもつながる」と期待を寄せた。三井三池製作所の山田照之技術開発部長は「収集したデータをもとにシステムをさらに高度化し、2年後の実用化を目指す」と語った。

 坊方トンネル(長さ1422m)は、中部縦貫道の一部を構成する高山清見道路の高山IC~丹生川IC(仮称)、9.5㎞区間に位置する。高山清見道路では最後のトンネル工事で、約半年前に丹生川側からNATMで掘削を始めた。7月14日時点の掘進長は380m、進捗率は27%。

 

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