【ICT舗装工】生産性と安全性向上の両立を目指せ! ステージは維持修繕現場へ | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

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【ICT舗装工】生産性と安全性向上の両立を目指せ! ステージは維持修繕現場へ

人を検知し自動停止するWSSシステム

 「施工現場でのICT活用により生産性向上だけでなく、安全性向上との両立も目指していく」と、NIPPOの相田尚技術本部総合技術部生産機械センター機械開発課長は強調する。同社では生産効率や品質確保に向けたICTの活用を進めるとともに、現場の安全確保を目的とした技術の開発・導入も進んでいる。国土交通省直轄工事で2017年度からスタートしたICT舗装工について「準備を進め、この流れに追従していく」(相田課長)とし、新設工事と並行して主流となる維持修繕工事でのICT活用による生産性と安全性の向上に高い地平で取り組む。
 同社が施工中の「新名神神戸舗装工事」では、ICT活用の1つのモデル現場としてさまざまな最新技術が導入されている。合材の温度を測定するシステム「Nコレ-t」は、合材を運搬するダンプの温度ロガーとアスファルトフィニッシャーのWi-Fi装置により、合材運搬時の温度測定データを自動で取得できる。出荷から到着まで連続して記録するデータはクラウド上に収集され、インターネットで場所を問わず確認できる。アスファルトフィニッシャーに取り付けた舗装管理システム「Pave-IR」は敷き均しの舗装温度に加え、位置情報と気象データもリアルタイムで取得でき、高度な品質確保に貢献している。
 効率的な施工と安全確保に向けたICT技術の活用も進む。ステレオカメラでヘルメットのICタグにより人や障害物を検知してホイールローダーやタイヤローラーを自動停止させる「WSシステム」も導入済み。相田課長は「生産性向上だけではなく安全性の向上も目指していく」と力を込める。
 同社が情報化施工に乗り出したのは04年。社内に情報化施工のチームを立ち上げ、GNSS(衛星測位システム)の高さ精度を向上させた「ミリメーターGPS」の国内での適用に向けてトプコン、西尾レントオールとともに実証に取り組み、関西国際空港の滑走路の施工でも活用した。其田直樹技術本部総合技術部生産機械センター機械開発グループ係長は導入から現在までを「普及が進み一般化した段階」と振り返った上で、「ようやく次のものを求め始める段階に入っている」と語る。

ICT技術の活用が進む新名神神戸舗装工事現場

 現在、同社が注力するのは維持修繕工事での技術開発だ。相田課長は「切削オーバーレイでのICT活用を考えた場合、マシンコントロールが必須条件ではなく、それ以前にデジタル化しなければならない技術がある」と指摘する。新設工事に比べ時間や敷地の制約が多い維持修繕の現場では簡易なICT技術の確立が普及のかぎとしており、相田課長は「既設の現況路面のデータを素早く取得できる技術があれば業務は大きく変化する」と考えており、「そこで一般化できるものを普及させたい」と見据えている。
 同社では17年度から、舗装現場をICTやIoT(モノのインターネット)でつなぐ「N-PNEXT(NIPPO-Paving-NEXT)」の考え方を打ち出し、これまでに各部署で手掛けた安全確保や省力化に向けた取り組みをまとめ、社内全体で推進している。ICTやIoTをより身近なものにするとともに、生産性と安全性向上の両立、クラウド活用による検査や書類提出の簡素化などに取り組む。現在はクラウドにデータを収集するにとどまるが、相田課長は「書類や検査では発注者との歩み寄りが不可欠なだけに、実現すれば双方にメリットがある。そこに一役買いたい」と展望する。

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