【記者座談会】リアルハプティクスって?/建コン協意見交換会 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【記者座談会】リアルハプティクスって?/建コン協意見交換会

◇力触覚を遠隔で伝達・再現 多分野から注目

A 12日に大林組と慶応義塾大学が発表した「リアルハプティクス」ってどんな技術なの。

B 触れたモノの硬さや柔らかさといった触覚を遠隔で伝えられる技術で、2002年に慶大が発明した。慶大と大林組はこれまでも建機操作や左官作業でリアルハプティクスの活用を試みてきた経緯があり、今回は山岳トンネル工事での火薬装填作業の遠隔化と自動化に応用して活用している。

C 実際にリアルハプティクスの原理を体験してみて驚いた。ロボットアームでポテトチップスをつまむ実験ではリアルハプティクスがないとすぐに割れてしまったが、適用すれば割らずにつまんで元の位置に戻すことが簡単にできた。さらに、つまむ操作を再現でき、ポテトチップスの向きなどを多少変えても割らずにつまむことができていた。一般的な産業用の機械ではそういった変化には対応できないという。

A 工場と異なり、現場ごとに状況が違う建設業にとってうってつけの技術というわけか。これからもさまざまな活用が見込めそうだね。

C 建設業をはじめとする産業界だけでなく、介護・福祉・医療分野などでも注目されている。リアルハプティクスの発明者である慶大の大西公平特任教授は「少子高齢社会・低成長時代を打破する鍵だ」として、熟練作業や危険作業をロボットが代替できるようになると説明していた。

B 現場への適用はロボットの耐久性など超えるべきハードルがまだ残っているものの、将来の担い手不足や生産性向上が急務であることを考えれば早期の実用化が求められる。

C 26年度の現場実証を目指すとしている。3年半でどこまで実現できるのか今後も追っていきたい。

遠隔操作で火薬を装填するデモンストレーション。リアルハプティクスによって壁にぶつかる感覚が伝わってくる

◇実態踏まえ継続した議論で改善促す

A ところで、建設コンサルタンツ協会の23年度地方ブロック意見交換会が後半戦に入ったね。

D 今週11日に中部、14日に近畿で開かれ、残るは28日の関東と10月24日の北陸、そしてちょっと間が開くけど12月11日の沖縄でフィナーレを迎える。ここ数年は台風や豪雨などの影響で延期や中止となったブロックがあったが、今年は予定どおり順調に進んでいる。
A 会議の状況は。

D 昨年に続いて対面での開催となり、より踏み込んだ議論が展開されているのではないか。協会が提起する「要望と提案」も前年同様の4本柱で構成しており、継続した議論が具体的な改善事例につながっているように感じる。
E やはり発注者側の各施策への取り組み状況を見える化した上で先行的な取り組みを好事例として共有し、その水平展開を促すことが奏功している。今年の皮切りとなった東北ブロックで国土交通省東北地方整備局の山本巧局長が「ぜひ来年は先行的事例に東北が登場するよう頑張りたい」と話していたように、課題解決への動機付けにもなっている。

D とはいえ、履行期限の平準化を見ても実態は改善が進んでいない。3月納期率は全整備局とも前年度に比べてむしろ増加しており、特に当初2月納期から3月納期への変更による影響が大きいことが分かっている。なぜそうなったのか、それこそ実態を踏まえて改善に取り組むことが必要だろう。
E そもそも3月に納期が集中しないよう発注の在り方を考えていくことが大前提としてある。主要施策を組み合わせた業務サイクル見直しの取り組みは確実に広がっており、その成果が今後数値としても表れてくることを期待したい。
 
 
 

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