【大林組と慶応大】リアルハプティクス応用しトンネルで火薬装填/26年度に現場で実験 | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【大林組と慶応大】リアルハプティクス応用しトンネルで火薬装填/26年度に現場で実験

遠隔装填技術のデモンストレーション


 大林組と慶応義塾大学は、遠隔で力触覚を再現する技術「リアルハプティクス」を応用し、山岳トンネル工事での火薬の装填作業を遠隔化・自動化するシステムを開発した。作業者による適切な力加減での火薬の押し込みが遠隔で可能となるため、安全性が向上する。その装填作業を再現し、自動化できるため、効率化も見込める。今後、要素試験を続け、2026年度に現場での適用実験を実施する。 自動火薬装填システムの開発は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「官民による若手研究者発掘支援支援事業」の一環として、慶大の野崎貴裕准教授らの研究グループと大林組が共同で進めている。12日に川崎市の同大新川崎先端研究教育連携スクエアで、実機によるデモンストレーションを報道陣に公開した。


 作業者は切羽の映像を確認しながら、込め棒やパイプの抵抗が力触覚として再現されたリモコン側を操作することで、安全な場所から実際の装薬孔に火薬を装填する感覚で作業できる。ロボット側ではリモコン側で動かした込め棒やパイプの角度、力の入れ具合をリアルタイムに再現する。

 遠隔操作だけでなく、リモコン側の遠隔操作データを活用した操作の再現による自動装填技術も開発した。多数ある装薬孔に装填していく繰り返し作業が自動化できるため、作業の効率化に寄与する。

 開発したシステムの核になっているリアルハプティクスは実際に触る感覚を伝送する技術で02年に慶応大が発明。大林組と慶大はこれまでも大型重機の操作や左官作業の再現などにリアルハプティクスを活用してきた。今回、山岳トンネル工事での火薬の装填作業に適用した理由について、野崎准教授は「産業製品と異なり、一律でない孔の位置に筒を挿入する作業は非常に難しく、火薬や雷管など危険性が高い材料を扱うため、適切な力加減が求められる」と説明した。

 大林組の渡辺淳土木本部生産技術本部トンネル技術部課長は「切羽付近での作業をなくし、安全確保と災害防止を実現するとともに、自動化によって今後の担い手不足に備えた省人化と生産性向上を図る。安全で確実なトンネル掘削を目指していきたい」と開発の意義を語った。

 

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