【カーボンネガティブコンクリ専用プラント】兵庫・加西市で運用開始/鹿島ら4社 | 建設通信新聞Digital

5月6日 月曜日

公式ブログ

【カーボンネガティブコンクリ専用プラント】兵庫・加西市で運用開始/鹿島ら4社

CUCO加西実証プラント


 鹿島とセイア(東京都港区、小崎貴紀社長)、日工、北川鉄工所は、製造時のCO2排出量をCO2削減・固定・吸収量が上回る「カーボンネガティブコンクリート」の製造と実証を目的とした専用プラントを兵庫県加西市に建設し、運用を始めた。実規模での試験製造が容易に実施でき、コンクリートの製造に必要な水や電力の使用に伴うCO2排出量を含めたCO2の総排出量を正確に把握可能な機能を備える。プレキャストコンクリート製品、レディーミクストコンクリートを問わず多種多様な革新的カーボンネガティブコンクリートの製造性を実証する場として活用していく。 実証プラントは練り混ぜ方式の異なる2台のミキサー(パドル式、連続羽根式)や粉体用の貯蔵ビン三つ、混和剤用のタンク三つを備えるほか、その他の材料をミキサーに投入しやすくするため、一般的なコンクリート製造プラントにはない材料保管場所を材料投入フロアに確保した。

 コンクリートにCO2を効率的に吸収させる実証に利用する温度・湿度・CO2濃度を制御できる炭酸化養生設備やコンクリートの製造時に発生する排水(スラッジ水)を高濃度かつCO2を固定した状態のまま有効利用する検討のための排水処理設備を搭載。コンクリート材料の輸送・計量・練り混ぜ・炭酸化養生・排水処理の各段階の電力消費量を計測し、コンクリート製造時の全CO2排出量を可視化するシステムも導入した。

 今年1月からはコンクリートの製造時に消費する電力量を把握し、その低減策の検討を始めている。一般的なコンクリート工場に応用可能な取り組みで、製造コストの抑制が期待できる。

 鹿島は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業「CO2を用いたコンクリート等製造技術開発プロジェクト」の一環として、デンカ、竹中工務店とともにコンソーシアムであるCUCO(クーコ)の幹事会社として、カーボンネガティブコンクリートの開発を進めている。ただ、研究開発をメーカーの工場で行う場合、メーカーの営業に支障のない範囲に限られ、実験期間の長期間化やケースが限定される。また、試験製造では多数の材料を同時、あるいは頻繁に入れ替える必要があるが、商用稼働する工場は対応できる設備になっていないといった課題を抱えていた。

 

【公式ブログ】ほかの記事はこちらから

建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら