【金杉建設】ICT建機で経験補い高精度施工を実践 & 新領域IoTに挑戦! | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【金杉建設】ICT建機で経験補い高精度施工を実践 & 新領域IoTに挑戦!

 地域建設業におけるi-Constructionトップランナーの1社の金杉建設(埼玉県春日部市、吉川一郎代表取締役)が、ICT施工の拡大に加え、IoT(モノのインターネット)による現場管理の効率化など、新領域に挑戦している。
 関東地方整備局北首都国道事務所が発注し、埼玉県松伏町で進む「東埼玉道路赤岩地区改良その2工事」は、河川工事で培ってきた経験とノウハウを生かし、同社として初めて道路工事にICTを導入した現場だ。
 工事内容は、道路土工が路体盛土1万7300m3、土砂運搬1万9200m3、地盤改良工がサンドマット3260㎡、バーチカルドレーン2307本など。平均深さ35m程度のドレーンを地中に大量に打ち込み、その上に「重し」となる盛土を構築し、地盤の水抜きを行うのが主なミッションだ。
 この現場では、盛土の敷きならしと締め固めにマシンコントロール(MC)ブルドーザー、仕上げ段階の法面整形にマシンガイダンス(MG)バックホウを活用する。黒田健介監理技術者は「丁張りがいらないのが、とにかく楽。重機周りに人が立ち入らないため、施工の安全性も高まる」と効果を実感している。

盛土構築で活躍するMCブルドーザー

 現在、MCブルドーザーによる盛土構築の最中だが、岩村尚紀現場代理人は「実はオペレーターはほぼ未経験者」と明かし、「出来形に問題はなく、これぞまさしくICT建機のメリット」と強調する。黒田監理技術者も「人手不足で熟練者の確保が難しくなる中、個々人の“腕”に左右されないのは大きい」と口をそろえる。
 さまざまな効果をもたらすICT施工を支えているのが、担当技術者の矢吹駿平さん。入社2年目で初めてのICT活用というが、「若い人は本当に飲み込みが早い」(岩村現場代理人)と現場のキーパーソンになっている。
 矢吹さんは、自社保有の3次元(3D)レーザースキャナーで起工測量を実施し、必要な3Dデータを現場事務所で内製している。3Dプリンターで盛土の立体模型を作って机上に現場環境を再現し、別工区との工程会議に生かす試みなども行っている。

左から矢吹担当技術者、岩村現場代理人、黒田監理技術者

 この現場は内閣府の官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM)を活用し、国土交通省が取り組む「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用プロジェクト」にも採択されている。東京建設コンサルタント、流域水管理研究所と組み、11月末までにIoT機器類を整え、運用を始めた。
 延長約100mの施工エリアに、数秒の等間隔で写真を撮るカメラ2台と映像用のカメラ10台を設置。発注者の事務所や施工者の本社などからもパソコンやスマートフォンで現況を常時確認できる。現場事務所にいながらにして、出来形確認に出るべきタイミングが計れるなど、効率的な施工管理にも役立っている。
 心拍、体温、加速度を測るバイタルセンサーを身につけ、異常値を検出した場合にアラートを発するシステムも導入。作業者の目線で、現場の状況を見られるウェアラブルカメラも取り入れている。

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