【記者座談会】スーパーシティ構想/建コン協意見交換会 | 建設通信新聞Digital

4月30日 火曜日

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【記者座談会】スーパーシティ構想/建コン協意見交換会

 内閣府がスーパーシティ型国家戦略特別区域に応募した31の自治体すべてに提案を差し戻したが。

 「スーパー」の名にふさわしい思い切った規制改革を伴う未来社会のビジョンが十分に描かれていない、物足りない提案内容だったということだ。6日に開かれた区域指定に関する専門調査会の初会合では、「大胆な規制改革の提案が乏しい」「分野横断的にデータ連係する提案が不十分」との指摘のほか、「補助金狙いの申請のような印象」といった手厳しい声まで上がっていた。

 そもそも国家戦略特区の目的は岩盤規制改革の実現にある。スーパーシティは、その中でもさらに世界から注目されるようなスケールの大きな革新的な未来社会を実現する仕組みとして、大胆な規制改革によるインパクトのある構想の提案を期待していた。しかし、自治体に対するヒアリングでは規制改革より先端的サービスの検討に時間や労力を費やすなど、制度を変えようという発想そのものが少なかった姿も浮かび上がっている。

 確かに大胆であればあるほど実現可能性は低いと考えてしまうし、それを住民に説明して合意を得るのは困難だと経験則からおのずと歯止めをかけてしまう側面はあるかもしれないね。

 岩盤に穴を開けるにも専門的な知識やスキルを持った人材が必要だ。ただ規制改革や分野横断のデータ連係も手段であって目的ではない。実際の生活者ニーズをくみ取りながら都市の全体最適を目指していくことが求められる。

 31の自治体は今後2カ月程度で再提案が求められ、国家戦略特区ワーキンググループが必要に応じてハンズオンで提案見直しの助言をしていく。5カ所程度を見込んでいる区域指定は今冬となりそうだ。

◆好事例の展開・定着へ官民対話を深化

建コン協本部は各地区ともウェブ会議での参加となる。写真は2日の九州地区との意見交換

 ところで建設コンサルタンツ協会の地方ブロック意見交換会が開かれているが、ことしの状況は。

 8月2日の九州を皮切りに25日の北陸で4地区目となる。コロナ禍の影響で26日に予定されていた北海道は9月以降に延期されたため、実質的に折り返しとなる。感染拡大の歯止めがかからない中で、各地区ともウェブ会議形式での意見交換となっている。

 ウェブ会議は2年連続となるが、国土交通省の各地方整備局も設備面を含め会議進行は昨年以上にこなれてきた感がある。協会側が提示する「要望と提案」の資料も重点項目に絞って分かりやすくコンパクトにまとめており、これに対する発注者側の回答や取り組み事例も事前に書面で示されているため、時間効率も非常によくスムーズだ。

 協会が実態調査の結果などで従来はA、B、Cなどと表記していた整備局名を今回は明示した。整備局によって施策の取り組み状況にはらつきもあるため、横並びで比較される状況を避けてきた側面があったわけだが、双方が実態をより明確に把握するとともに、各整備局がそれぞれ個別に取り組む効果的な改善施策を「好事例」として積極的に評価することで全国的に水平展開してもらうことが狙いとしてある。

 九州整備局の藤巻浩之局長が「取り組みの成果は上がってきている半面、踊り場にある」と話していたように、諸課題に対する受発注者間の共有認識は着実に深まっている一方で、思ったほどには改善が進んでいないことも双方が感じている。北陸整備局が新たな取り組みとして「マンスリー・ケア」の実施を打ち出したが、官民の絶えざる対話によって、より実効ある形で「好事例」が定着していくことを期待したい。



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