【水素ショベル25年に欧州で販売】国内にはクローラクレーン計画/コベルコ建機 | 建設通信新聞Digital

5月19日 日曜日

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【水素ショベル25年に欧州で販売】国内にはクローラクレーン計画/コベルコ建機

水素を駆動源に稼働している試作機

 コベルコ建機は、カーボンニュートラル(CN)社会の実現に貢献するため、CO2排出量がより少ない建設機械の開発に注力し、その建機提供も順次拡大していく。水素を駆動源とする燃料電池式電動ショベルについては試作機を開発。稼働評価でショベルに求める基本動作を、水素の駆動源でも実現できることを確認した。提供面では2025年に、電動化製品のニーズが高い欧州市場向けとしてバッテリー式のミニショベル、小型重機ショベルを市場投入し、日本国内向けにはクローラークレーンの有線電動仕様機を市販する計画だ。

 同社はCNに向けた製品開発の一環で、水素を駆動源とした燃料電池式電動ショベルの開発に21年から取り組み、今年3月に試作機が完成した。中型油圧ショベルに電気駆動システムを搭載し、電力源にはトヨタ自動車の燃料電池ユニットと水素タンクを採用したものとなっている。

 同機の稼働評価では、従来のエンジン搭載機と比べ、遜色がない動作速度で圧倒的に低騒音であること、エンジン振動がないため車体への振動伝達が低減し、搭乗時の快適性が向上したことを確認。稼働による排出物は、水素と空気中の酸素が結合した純水のみのためCO2排出量がゼロであることなども確認し、水素が駆動源でもショベルの基本動作を実現できる評価が得られた。

 今後、試作機をさらに改善し、連続掘削して土砂の積み込み作業ができるなど、従来のエンジン搭載機と同等の作業性能を実現させて商品化を目指す。水素供給関連技術を持つKOBELCOグループの総合力も生かし、同機の機能向上や安全性と信頼性の確立に向けた研究開発、水素供給と充填方法などの課題解決に取り組み、市販に向けた環境構築を加速させる。

 一方、提供面では、エンジン式の代替となる低CO2排出の動力装置に有線電動、バッテリー、燃料電池式の電動が挙げられるものの、いずれも長所、短所があり、現場によって利用可能な動力装置が異なることを考慮。CN対応で変化する建設現場や供給される駆動源、関連法令やインフラの整備状況を注視しつつ、多様なCN手段による技術開発を進め、その成果を反映した建機を順次提供していく。

 

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