【大成建設とリコー】プロジェクションマッピング墨出し高度化、投影面積300インチで誤差2ミリ以内 | 建設通信新聞Digital

5月12日 日曜日

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【大成建設とリコー】プロジェクションマッピング墨出し高度化、投影面積300インチで誤差2ミリ以内

墨出し作業状況


 大成建設は、過年度に開発したプロジェクションマッピングを利用した墨出し技術「T-iDigital MARKING」について、リコーとともに高度化に関する共同開発を進め、高品質・高精度化を実現した。4K超短焦点プロジェクターを新規に開発。図面との投映誤差を約2mm以内に抑え、投映面積を従前の3.5倍以上となる300インチ(約6.6×3.7m)に拡大した。専門工事業者が工種ごとに行う墨出し作業を合理化・省力化する。

4K超短焦点プロジェクター


 寸法情報を実際の施工現場に原寸大で書き出す墨出し作業は、重要で不可欠な作業となるが、多くの手間と時間を要している。

 2021年に開発した「T-iDigital MARKING」は、プロジェクションマッピングを利用した新たな墨出し技術で、建物の床面に原寸大で投映した図面を基に、作業員が直接マーキングすることにより正確・迅速な墨出しを可能にした。

 さらなる高度化に向け、短焦点や、小型でも大きな画面を投映できるプロジェクター関連技術を持つリコーを共同開発者に迎え、4K超短焦点プロジェクターを新規に開発するとともに機能拡張した。

 実証の結果、2LDK約66㎡と3LDK約75㎡の共同住宅での作業時間は従来手法と比較して半分程度になったという。機械操作を覚えれば誰でも扱えるため、職人不足にも対応できる。

 投映面を認識する撮影カメラや投映するプロジェクターのレンズのゆがみ補正(キャリブレーション)と床面の障害物への対応が可能な自動補正システムを開発し、精度を向上。建設現場特有の床面の段差や設備工事による立ち上げ配管などの障害物による投映画像のゆがみ補正にも対応する。設備墨出しだけでなく、より高い精度が求められる建築墨出しへの適用も可能とした。

 従来は、設置後に投映画像の縮尺・回転角調整や図面の位置合わせなど準備作業を全て手動で行っていたが、一連の準備作業を自動化した。建設現場の基準墨に合わせて床面に設置した専用基準尺(ARマーカー)をカメラで読み取ることで投映位置を認識し、自動で投映画像の縮尺・回転角を調整して図面を位置合わせする。機材を移動するたびに必要となる準備作業時間を約5分に短縮した。

 今後はさらなる改良を進め、25年度の実用化を目指す。現状の試作機は3000ルーメンで、量産機では輝度をさらに高め、建築の仕上げ工事を主なターゲットに展開する予定。リースも計画する。将来的には土木工事などでの活用も見据える。

 

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