【BIM/CIM原則化元年③】インフラ分野のDXの推進とBIM/CIMの活用について 国土交通省 大臣官房参事官(イノベーション) 森下博之氏 | 建設通信新聞Digital

4月27日 土曜日

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【BIM/CIM原則化元年③】インフラ分野のDXの推進とBIM/CIMの活用について 国土交通省 大臣官房参事官(イノベーション) 森下博之氏

【「原則化」出発点に動く受発注者の生産改革】
 国土交通省の直轄事業でBIM/CIM原則適用がスタートした。3次元データ活用の経験が浅い受注者でも取り組みやすいように配慮した設定となったものの、従来の2次元フローを変更しなくても対応できるという認識も広まっている。いかにBIM/CIMと向き合うべきか。日刊建設通信新聞社が9月1日に東京都中央区の東京ミッドタウン八重洲で開催したセミナー「BIM/CIMの今後を考える」では、将来のBIM/CIMに向けた発注者や受注者の考え方が示された。登壇者6人の思いからBIM/CIMの向かうべき道筋を浮き彫りにする。セミナーはオートデスク、大塚商会、応用技術が協賛。会場にはゼネコンや建設コンサルタントのBIM/CIM推進担当を中心に約100人が集まった。

9月1日のセミナーにはゼネコン、建設コンサルのBIM/CIM担当を中心に100人が参加

原則化のフォローアップに注力

 i-Constructionは建設現場の生産性向上が目的ですが、インフラDXはインフラ活用やサービス利用まで含めた幅広い視点で進めています。インフラ関連業界だけでなく、ソフトウエアや通信事業、サービス業界などとも連携し、デジタルデータやデジタル技術を積極的に活用していきます。

森下博之氏

 今年4月には、各局の取り組みを束ねる役割として大臣官房参事官(イノベーション)というポストも新設し、参事官グループとして約40人の体制を構築しました。この新しい参事官グループとして、各政策の概要や具体工程を明らかにしたインフラ分野のDXアクションプランの第2版を8月に公表しました。

 プランでは、国土交通省技術基本計画で示している20-30年後の社会イメージを実現することを将来像と位置付けています。第2版では組織横断的・分野網羅的に取り組む方針を打ち出し、その方向性として「インフラの作り方」「インフラの使い方」そして「データの活かし方」の三つの観点から変革を進めていこうとしています。

 インフラの作り方の変革では、既にi-Conが着実に進展しています。直轄土木工事のICT施工実施率は年々増加し、21年度は告示件数の84%で実施しました。起工測量から電子納品までの延べ作業時間は土木、舗装工、河川の浚渫工河川で約3割削減、港湾の浚渫では1割削減の効果を発揮しています。

 インフラの使い方の変革については、これから本格展開の段階ですが、先行している取り組みとしてはインフラの管理や巡視にドローンを活用していこうと考えています。そのために長時間連続飛行ドローンの公募検証などにも取り組んでいます。

 データの生かし方の変革では、国土データプラットフォームを中核として取り組みを進めていきます。そこには国交省の所有データだけでなく、民間の保有データも蓄積していきます。これはインフラDXの実現を目指すプラットフォームになるものと考えています。この4月に検索機能の強化などを行いました。今後、積極的にコンテンツを増やします。国土交通省では昨年の「挑戦の年」から一つステージを上げ、今年を「インフラDX躍進の年」と位置付け、積極的に展開していきます。

 この4月からはBIM/CIMの原則適用についてもスタートしました。BIM/CIMはICT施工を支える基盤です。まず3次元モデルデータを建設業界に浸透させたいと考え、義務項目として視覚化による効果を経験してもらう枠組みを設け、3次元モデルの解析など高度な活用に取り組む推奨項目についても設定しました。

 さらに発注者によるデータ共有としてDS(データシェアリング)にも取り組んでいきます。将来的なデータ管理に向けた第一歩として業務や工事の契約後、速やかに受注者に設計図書作成の基となった情報を説明することを発注者に義務付けます。

 原則化元年の23年度はBIM/CIMのフォローアップにも力を注ぎ、原則化の課題を整理し、課題解決に向けて取り組みます。これまで策定したガイドラインも修正する部分も出てくると考えています。

三つの観点から変革を進める



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