【大林組、トヨタ】CFRP端材でコンクリ補強/燃料電池車の普及見据え開発 | 建設通信新聞Digital

5月2日 木曜日

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【大林組、トヨタ】CFRP端材でコンクリ補強/燃料電池車の普及見据え開発

資源循環と開発技術の概要


 大林組とトヨタ自動車は、燃料電池車「MIRAI」の水素タンクに使用される炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の端材を、コンクリート補強用短繊維として再生利用する「リカボクリート工法」を共同開発し、トヨタ明知工場内の部品置き場床面に初適用した。コンクリートの補強に加え、性能を保ったまま再利用することが難しかったCFRPの廃棄量の削減効果が期待できる。燃料電池車の市場拡大に伴う水素タンクの製造量の増加を見据え、技術開発を継続し、2026年度までに製造システムを実装して年間3万m3の繊維補強コンクリートへの適用を目指す。

 CFRPは軽くて強度が高く、耐久性に優れ、水素を燃料とする燃料電池車の水素タンクや航空機、風力発電の風車ブレードなどに利用されている。ただ、端材として発生したCFRPは電炉で鉄をリサイクルする工程での原料としての使用にとどまるなど、CFRPが持つ強度を生かした利用ができていなかった。

 開発したリカボクリート工法では、独自の熱加工により、CFRP端材の表面層からCFRPをはがす技術を確立。CFRPの性能を保ったまま連続的にはがすことができ、コンクリート補強用短繊維への加工を容易とした。適切な長さに裁断し、コンクリートに添加することでコンクリートのひび割れ抑制や靱性の向上を実現できる。

 再生加工したコンクリート補強用短繊維は、同じ目的で従来使われてきたポリプロピレン製短繊維の3分の2の添加量で同等以上の圧縮強度や曲げ靱性を発揮する。また、CO2排出量を新品の炭素繊維と比べて15分の1に、通常の補強鉄筋の使用との比較では9分の1にそれぞれ低減できる。

 

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