国内外からの観光客でにぎわう奈良公園(奈良市)で、公園内の幼木を守り育てる『子守木(こもりぎ)』の実証実験が進められている。幼木を踏圧から防ぐことで土壌環境を改善、公園内に生息するシカによる食害を防ぐ役割も担う。
子守木には日建設計が開発した木質ユニット『つな木』が活用されている。
10日、同公園に設置されている子守木を組み替える作業の様子が公開された。子守木は2021年に日建設計が社会課題解決のためにつな木を活用するアイデアコンペを実施、優秀賞に選ばれた提案に基づくもので、当時奈良女子大生だった川合布公帆さんと小西くるみさんが考案した。今年3月に初めて同公園に設置された。
今回の組み替えでは木材に外来種のナンキンハゼを使用。ナンキンハゼはシカが嫌うため、食害を防ぐ効果が期待されている。将来的には子守木を拡張し、ベンチを設置するというアイデアもあるという。
つな木プロジェクトを担当する大庭拓也日建設計設計グループダイレクターアーキテクトは、「奈良県、奈良女子大学との連携があって実現できた。このプロジェクトをきっかけに奈良公園から新たな『つながり』が生まれればうれしい」と語る。