【施工BIMのインパクト2023③】大型物流倉庫における専門工事会社とのデータ連携・施工BIM活用 会社の垣根越え支援体制構築 | 建設通信新聞Digital

5月19日 日曜日

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【施工BIMのインパクト2023③】大型物流倉庫における専門工事会社とのデータ連携・施工BIM活用 会社の垣根越え支援体制構築

安藤ハザマ 建設本部生産設計部施工BIMグループ 岩倉巧氏
SGIKO技術営業部デジタルサービス推進課 明石拓也氏

岩倉氏

 安藤ハザマとSUGIKOによる施工計画のBIM取り組みを、埼玉県内で建設した物流倉庫を事例に説明します。CDE(共通データ環境)を活用した元請と専門工事会社の協業内容・役割分担・データ連携に焦点を当てます。

 安藤ハザマBIM支援部門(以下、支援部門)は、プロジェクト全体のBIM取り組みのマネジメント業務を担当しました。工事着工前から作業所とのBIMキックオフ会議を設けて取組内容を協議し、作業所と合意の上BEP(BIM実行計画書)をまとめました。その際、関係者間のデータの受け渡しがより円滑となるようCDEも合わせて検討し、整備しました。

 本事例では、SUGIKOが専門工事会社の知見を反映させた足場計画をBIMで作成し、作業所に提出しました。作業所はモデルを活用して納まりなどを詳細に検討し、計画を確定させました。また、SUGIKOは調整後のBIMデータと作業所の搬入工区指定に基づいて足場数量を正確に算出し、発注支援に活用しました。支援部門は作成された足場モデルを活用して足場の設置時期を反映した施工シミュレーションを作成し、作業所の若手職員や職長に向けて検討会で展開しました。専門工事会社と協業・連携した足場モデルの作成・活用により、安全面を向上させたほか、検討不足による手戻りを防止し、作業所業務を効率化しました。

明石氏


 安藤ハザマでは、意匠・構造や仮設など、設計・生産・施工で使用するBIMソフトは大部分をRevitに統一しています。本事例では、設計や生産時で使用したBIMモデルを施工時にも引き継いで一気通貫で使用し、設計・施工間のデータの断絶を起こさないよう工夫しました。

 一方、専門工事会社が作成する設備や鉄骨は、各社で使用するソフトが異なることから、BOX経由でBIM調整会議にあわせて最新データを受領し、Solibriを使用した重ね合わせモデルを作成の上、干渉チェックを行いました。このように、本物件では目的や利用するソフトを考慮したCDEの使い分け、運用を行いました。

 今後のCDEに関する課題として、運用ルールの確実な整備が挙げられます。今回データ連携を行った専門工事会社は数社にとどまりましたが、今後施工BIMの活用がさらに浸透することで、参画する会社数・人員数も増大することが予想されます。運用フローの確立やデータの最新版管理、編集権限・責任の所在の明確化などにより、リスク回避を行うことがさらに重要となります。また、NONBIMユーザーへのモデル共有方法も課題です。日中の大半を外に出て仕事をしている現場職員も多いため、タブレット端末を使用し気軽に最新のBIMモデルの情報が共有できるCDEの構築が必要と感じます。

 施工BIMのインパクトでご紹介したSUGIKOの「BIMサポーター」事例を踏まえて、元請側のみで各作業所にBIM支援をすることだけが正解ではないことに気がつきました。専門工事会社や元請会社の垣根を越えて、協業したBIM支援体制を構築することができてくると、各社の現場のBIMの普及や促進につながるのではないかと考えています。




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