【施工BIMのインパクト2023⑥】BIMの推進からDXに向けた取組み 自社開発ツールでBIM連携 | 建設通信新聞Digital

4月28日 日曜日

B・C・I 未来図

【施工BIMのインパクト2023⑥】BIMの推進からDXに向けた取組み 自社開発ツールでBIM連携

東芝エレベータ情報戦略システム部
デジタルトランスフォーメーション推進担当フェロー 平手和夫氏

 東芝エレベータは、BIMやデータを活用した生産向上に向けて取り組んでいます。昇降機メーカーとしてのBIMの活用は、昇降路や機械室の収まり確認のほか、鉄骨部材の調整において役立てています。従来、設計図を見て設計していたものが、BIM合意モデルによって一目で設計コンセプトが理解できることは大きな利点です。

 現在、BIM作業の負荷低減を目的に設計図を減らす取り組みを推進中です。設計図の作成の上に、BIMモデルを作成する作業が加われば、業務負荷が重くなります。そのため、顧客とともにBIMモデルを正とした最小限の書類で工程進行できる手法を目指しています。これまでの設計図が本当に必要なのかを検証し、必要な書類だけを残すスマートな運用を実現したいです。BIM運用の最適化はワークフロー改善にも役立ち、重要性は高いと考えます。

 また、自社開発したアドインツールを用いたBIM連携の効率化も進めています。相互運用性の向上などを目的としたアドインツールで、顧客の昇降路情報を自社の設計システムに取り込み、昇降機のBIMモデルを作成し、顧客のもとに正確に自動配置する仕組み作りを実施しています。

 当社は既に、AutoCADを使った設計業務をRevitで実施しています。BIMでの仕事に切り替えが進むにつれ、3Dモデルを有効に使う手立てはないか、という点に着目するようになりました。さまざまな部門で使えて、そこに含まれるデータも活用しようという取り組みが始まりました。

 具体的には関係部門で3Dモデルを共有し、3Dビューアーを用いることで設計図上の見落としやすい課題の発見につなげています。また、3Dモデルに含まれる資材手配や見積積算の属性データを自動システムで抽出させ、各システムとデータが連携することで、他部門の入力作業の削減にも貢献します。

 DX(デジタルトランスフォ―メション)に向けた取り組みにも注力しています。これまで設計図などでモノ作りをしてきたので、各部門のシステムが独立し、各々で保有するデータを共有できていない課題がありました。現在は、デジタルのプロセス改革に向けてデータの統合・集束を急いでいます。

 統合データベースに各部門のシステムをつなげて、データを連動させることで、信頼性の高いデータを運用できます。現在実現しているのが、昇降機の仕様入力システムと呼ばれる基幹系営業データを昇降機の納まりを設計する「3D計画設計」につなぐというものです。BIMの領域にデータをつなぐことで、仕様を変えても変更情報がCADに伝わり、CADデータが自動に駆動して形状が変わります。情報に基づいて設計図が自動的に変更することは、建築物の品質向上にも寄与すると考えます。

 今後は3D設計を通じて蓄積したデータを活用し、設計の自動化を加速させます。AI技術はBIMとの相性が良いと考えており、AI主体の建築設計やモノ作りが進んでいくかもしれません。

 現在、BIMの広がりは実感しているとはいえ、現場を見渡すとまだまだ浸透の余地があると思います。BIMはデータを活用する上でのプラットフォームと考えており、今後のデジタル化には不可欠です。


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