【関東建設青年会議】魅力伝えるプロジェクト始動/"表現者"が巨大文字 | 建設通信新聞Digital

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【関東建設青年会議】魅力伝えるプロジェクト始動/“表現者”が巨大文字

利根川上流河川事務所のロゴマーク(左上)と巨大文字


 茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川、山梨の7県の建設業協会各青年部会で組織する関東建設青年会議(籾山大介会長)が企画する新たなプロジェクトがスタートした。関東地方整備局などの協力を得て、7県の河川工事の現場などをフィールドに巨大メッセージを描く取り組み。施工者自らが“表現者”となり、その取り組みを内外に発信することで建設業全体を盛り上げていく。2023年12月には小川工業(埼玉県行田市)と齋藤建設(甲府市)による作品が相次いで完成した。今後も各地で巨大文字が出現する予定だ。

◇小川工業(行田市)/事前にイメージ共有

 小川工業(小川貢三郎社長)の巨大メッセージは23年12月25日、同社が施工する「R4利根川右岸栗橋北堤防強化工事」の上流にある埼玉大橋付近(埼玉県加須市)に完成した。工事を発注した関東地方整備局利根川上流河川事務所が河川敷の一部をフィールドとして提供した。

 プロジェクトを主導する同会議建設産業情報発信委員会の委員長を務める小川工業の小川智右取締役常務執行役員は「インフラを守る建設業だが、担い手不足解消が喫緊の課題となっている。まずは建設業に目を向けて、興味を持ってもらいたい。業界では誰もが働きやすい職場環境の整備を進めている」と語る。

 横約62m、縦約53mのスペースのうち、右上の横約35m、縦約30mに「2024 START」、左上には利根川上流河川事務所のロゴマーク、右下には「OGAWA」の文字を刻んだ。

 文字の大きさ、現場環境などに対応できる3次元設計データをオートデスクの「オートCAD」、建設システムの「サイテック3D」で作成した上で、MC(マシンコントロール)バックホウなどで18日から25日にかけて予定どおりのスケジュールで文字を完成させた。

小川工業のスタッフ


 監理技術者の高橋亮氏は「文字の完成形を、3Dプリンターで作成した模型や、AR(拡張現実)システムにより、オペレーターと事前にイメージを共有できたことで、スムーズに施工できた」と語る。使用したMCバックホウ2台のうち1台はバケットを傾けることができるチルト機能を搭載しており、「マシンを正対させなくても、斜めから細かい作業ができた」と効果を実感している。
 
 

 
◇齋藤建設(甲府市)/MCバックホウ活用

全体では縦約15m、幅約130mとなった


 齋藤建設(齋藤啓文社長)の巨大メッセージは23年12月29日、同社が施工する「R4笛吹川左岸川中島護岸他工事」の現場(山梨県笛吹市)に完成した。工事を発注した関東地方整備局甲府河川国道事務所笛吹川出張所が現場の一部をフィールドとして提供した。

 巨大メッセージの内容は「START2024」。ICT建機などを活用し、おおよそ7日間で造形した。文字の大きさは、1文字当たり縦約15m、横約14m。全体では、縦約15m、幅約130mとなる。

 同社が施工中の護岸工事の現場を対象に、ドローン測量を実施し、作成した3Dの設計データをMCバックホウに出力。文字の周りを約1mの深さとなるように掘り、外形を浮かび上がらせた。掘削した土は、バックホウとブルドーザーで、周辺に敷き均した。

齋藤社長


 齋藤建設の齋藤社長は「今の技術では、全幅130mにもなる巨大な文字が比較的簡単に製作できることを知ってもらいたい。日常で見かける場所に巨大文字を製作することで、建設業を身近に感じてもらう機会にもなる」と語った。

 利根川悠司現場所長は「ICT建機の活用により、丁張りなどが不要になり、これまでであれば数カ月ほどかかる作業を数日に短縮できた」と効果を説明した。

 現場は石和温泉駅から車で6分程度の場所。道路沿いに位置しており、走行中の車の中からでもメッセージが視認できる。

 巨大文字は、風化するまで公開する予定だ。

 

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