【宅配便再配達】住設・金物メーカーが宅配ボックス販売で戦略つぎつぎ | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【宅配便再配達】住設・金物メーカーが宅配ボックス販売で戦略つぎつぎ

荷物取り出し(パナソニック)


 ネットショッピングの利用者が爆発的に増え、宅配業界は深刻な人手不足になった。特に、住宅のポストのサイズが小さいために荷物が投函できず、ドライバーが訪問を繰り返す「再配達問題」は社会問題に発展していたが、これを商機ととらえた住設・建築金物メーカーが、大型の荷物が入る宅配ボックスの販売に相次いで乗り出した。通信販売サイトの利用がさらに拡大する中、宅配ボックスの普及は始まったばかり。各社はさまざまな販売戦略を展開する。
 「受け取るものが変わったのに、郵便受けの姿が30年以上変わらないのはおかしいと思った」。建築用金物のナスタは2014年、笹川順平社長の音頭で通信販売サイト大手のAmazonと提携し、同社の配送用の箱の規格に合わせたポストを開発した。発売から3年目となったが、現在も売り上げは飛躍的に伸びている。
 ナスタはことし2月、大和ハウス工業の分譲住宅向け特注品を発表した。門柱のようにボックスを3段重ねにした構造で、表札とインターホンパネルに、大型メール便が入るポストと宅配便用の2つが付く。大和ハウス工業の担当者は「今後は自社の分譲住宅には必ず付属品として取り付けたい。請け負いの戸建てでも積極的に提案する」と話した。初弾として越谷レイクタウン地区の分譲地223戸に設置された。

分譲住宅向け特注品(ナスタ)


 パナソニックのエコソリューションズ社では、宅配ボックスを“ポストのように一家に一台設置するもの“にしようと、新築世帯以外にも目を向けて商品を開発する。同社によれば、宅配便の受け取り時に家から出たくない消費者が多くいるという。6月からは受け取りの押印が自動でできる機構を搭載した宅配ボックスを販売した。電気配線なしで手軽に設置できることがメリットだ。

押印を自動化(パナソニック)


 YKKAPは、人気のエクステリアシリーズ「ルシアス」に、大容量の宅配ボックスと郵便ポストを一体化した製品を追加した。「住宅外観のトータルコーディネイト」を売り文句に、門扉・フェンスや玄関用ルーフ、バルコニーなどデザインを統一する。近年では、外回りのエクステリアが付いていない建売住宅が増えた。うまくいけば製品を一括販売できるチャンスとなる。
 宅配ボックスを住宅用のIoT(モノのインターネット)システムと連動させる動きもある。LIXILの「リンクボックス」は外出中でも荷物の受け取りや取り出し状況がスマートフォンに転送され、不在時でも宅配物が管理できる。自宅用監視カメラの情報とともに「ホームネットワークシステム」につなげ、一括管理できる。
 宅配ボックス市場は生まれたばかりだ。「冷蔵機能を備えた宅配ボックスで、食品を受け取れるようにしたい」とナスタの笹川社長は話す。製品の進化もまだまだ続く。

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