【"再配達問題"を解消】大手ディベロッパー7社が導入 IoTインターホン『住まうほん』とは? | 建設通信新聞Digital

4月20日 土曜日

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【“再配達問題”を解消】大手ディベロッパー7社が導入 IoTインターホン『住まうほん』とは?

 テンフィートライト(東京都中央区、相川太郎代表取締役)が展開しているマンション向けのIoT(モノのインターネット)インターホン『住まうほん』の採用が広がっている。1月までに大手ディベロッパー7社が導入を決めており、50棟4500戸で採用された。相川代表取締役は「配達される荷物と住宅居住者のマッチングゾーンを広げたい」と語る。

 インターネット通信販売などが社会に広がったことで、物流業界の人手不足が深刻化し、物流の効率化が求められている。特に問題視されているのが、宅配便などの配達時の居住者不在による再配達だ。ドライバーの大きな負担となっており、関係各方面が改善のための知恵を絞っている。玄関の前に荷物を置いておく『置き配』や宅配ボックスなどが普及しつつあるものの、マンションの場合、エントランスを解錠しなければドライバーが玄関まで到達できず、置き配が難しいほか、宅配ボックスも数が限られ、大規模マンションなどでは使いにくいのが実情だ。

 『住まうほん』は、マンションのインターホンとスマートフォンをインターネットでつなぎ、インターホンの映像をスマホで確認してからマンションのエントランスを解錠できるシステム。会議中など応答できない時も、玄関前の宅配ボックスに入れておくなど決められたメッセージを流して対応できるほか、来訪者履歴などもチェックできる。

 相川代表取締役は、「マンションの中庭や階段、ゴミ捨て場など、マンションの近くにいてもこれまではインターホンに応答できなかった。家にいても、ベランダにいるとインターホンの音が聞こえなかったりする。高齢者の場合、インターホンにたどり着くまで時間が掛かり、ドライバーが帰ってしまうということもある。住居内のインターホン近くに居住者がいる時だけだった荷物と居住者のマッチングゾーンを広げ、配達機会を増やすことが生産性向上という国際社会からの要請に応えることになる」と、システムを展開する狙いを語る。

『住まうほん』のシステム概要


 住宅設備のIoTシステムは近年、多種多様な製品が開発されているものの、インターホンの分野は、実は類似システムが少ない。『住まうほん』は、すでにパナソニックとアイホンのインターホン大手2社にも対応済みで、両社が展開するIoT製品にも導入されている。

 国土交通省の2017年度サステナブル建築物等先導事業(次世代住宅型)に採択された東京建物の「Brillia向ヶ丘遊園」でも、IoTインターホンシステムとして採用された。2018年12月から入居者が利用を始め、20年1月の再配達削減率(利用戸数78戸)が8.4%に上った。月当たりのスマホでの解錠回数も20回に上り、約1年間の平均再配達削減率は5.2%で、着実に成果が出ている。すでに大手ディベロッパー7社が導入を決め、1月までに20棟1500戸が稼働済み、30棟3000戸で受注が決定した。

 今後は、賃貸マンションや既存マンションのリニューアルでの導入を目指している。新設住宅着工戸数は減少傾向にあるものの、既存マンションのリニューアル時のシステム導入を狙えば、膨大な市場が見えてくる。

 将来的には、マンション共有の電気自動車やシェアサイクルの利用状況情報をタイムライン方式で入居者に知らせたり、宅配ボックスの着荷通知、ガス・水道・電気やエレベーターの警報通知などのサービス拡充も予定している。

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