【記者座談会】新型コロナウイルス感染拡大 | 建設通信新聞Digital

4月29日 月曜日

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【記者座談会】新型コロナウイルス感染拡大

A 今週も新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言に関する話題だ。というか、最近は、建設業界もこの話題一色で、ほかにテーマを出しづらい。
B 大手・準大手ゼネコンの動向を振り返ると、3月の間は管理部門など内勤者のテレワークや在宅勤務などを推進する動きだけで、現場は通常稼働していた。7日に緊急事態宣言が7都府県に発令された翌日、西松建設と東急建設が現場を閉所する基本方針を打ち出した。本紙でも触れたが、この時点ではまだ閉所するという企業は少数派だった。ところが、13日に清水建設が自社の社員の感染とその後の動向を踏まえて閉所する方針を示し、各社に衝撃が走った。
C 大手ゼネコンの一角が閉所方針を出したということだけでなく、自社で同じことが起きた場合にどう対処するのか、ということを各社が突きつけられた格好だ。当然ながら、建設工事というのは発注者との請負契約に基づいて施工しているので、発注者が工事を止めて良いと言わなければできないし、工期が延びれば費用負担の協議も必要になる。工事に関する費用負担だけでなく、下請けとの契約と費用負担、日給月給のため生活費に困るという技能者に対する補償といった点も詰めなければならず、簡単な話ではない。でも、そうしたことが社員や作業員の身の安全と並ぶほどの重大事なのか、という問いに答えなければならなくなった。このため17日以降、雪崩を打ったように大手・準大手ゼネコンが閉所方針を示し始めた。22日時点で、大手5社のうちの3社を含む計17社が閉所の方針を出している。

緊急事態宣言の期間が長引けば、ゼネコン、地域建設業、専門工事業に大きな影響が出てくる(写真はイメージ)

◆緊急事態宣言の延長可否に注視

A 今回、驚いたのは、マンションの工事が売り上げの半分以上を占める企業も閉所方針を出していることだ。マンションの場合、入居者が決まっており、オフィスビルよりも工期の延長は難しいと言われる。
B ほとんどの企業が閉所期間を5月6日までとしており、ゴールデンウィーク中のため、もともと閉所日の多い期間で6日に緊急事態宣言が解除されれば取り戻せるということもあるだろう。東京都内の現場では延期になった東京五輪の開催期間中に工事を止める予定だった現場もあるから、その期間を前倒しすれば対応可能という現場もあるだろう。
A 地方の建設業界は。
D 地方の建設業界はほとんど閉所する企業はないようだ。企業規模が小さい場合、出来高が上がらないと経営悪化に直結する。また、手持ち工事も複数年にわたるような工事が少なく、4-5月はまだ稼働している現場が少ないという理由もあるだろう。技能者が他社や他業界に流出するという懸念も、より直接的に肌で感じているようだ。
A 今後の問題は。
C 5月6日で緊急事態宣言が解除されるかどうかだ。延長された場合、閉所し続けるのは工程上も業績上も厳しいだろう。仮に緊急事態宣言は発令したままで、一定の条件のもとで緩和ということになった場合、どのような対応が可能なのか。今後も、各社は政府の方針を注視しながら、その都度、対応を決めざるを得ない。
E 予算執行という問題もある。あまりにも多くの公共工事が長期間ストップすると、予算執行が遅れ来年度の予算編成にも影響を与えかねない。とはいえ、いまの状況で国土交通省も、受注者が一時中止を希望している現場で無理に工事を継続させるわけにもいかない。
B いずれにしても、状況が刻一刻と変わっており、明日には状況が一変するかも知れない。

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