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5月1日 木曜日

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【記者座談会】大阪・関西万博が開幕/公共工事発注件数減が鮮明

◇大屋根リングは太陽の塔に匹敵

大阪・関西万博は10月13日まで開かれる。初日の13日には約12万人が来場した。


A 13日に2025年大阪・関西万博が開幕したね。開催期間は10月13日までで、初日には約12万人が来場した。開幕前の9日に開かれたメディア向けの内覧会はどうだった。

B 入場してすぐ目に入る大屋根リングは壮観だった。生で見るとその迫力に圧倒される。会場を包み込むこのリングを構想した会場デザインプロデューサーの藤本壮介さんは、「脇役としてつくった」というが、1970年大阪万博の太陽の塔に匹敵するインパクトを与えていると思う。

C これも藤本さんの話だが、「パビリオンが主役」というように、振動する建築やシャボン玉のような建築など、どのパビリオンも個性豊かで素晴らしく、歩いているだけで楽しかった。

B 海外パビリオンの外観にはその国の特徴がどことなく表れていて、どの国のパビリオンだろうかと予想しながら歩いても面白い。若手建築家が設計したトイレや休憩所もお勧めだ。どれも万博だからこそできる挑戦的な作品で、必見だと思うよ。

C 東京ディズニーランド3個分の広さともあって、会場内はとにかく歩く。歩数アプリを見てみると、この日午後1時から8時までで約2万歩歩いていた。遠方から来場する人は1日で見て回らないといけないだろうが、会場内の至る所にあるベンチで適度に休みながら回った方が良い。ノンストップで歩いていたため、夕方ごろには見学したパビリオン内部で集中力が途切れそうになった。

A 夏場の暑さも心配だね。

B 自動販売機や無料のウォーターサーバーがあちこちに設けられているので、こまめに水分補給してほしい。

◇工事件数減少は地域建設会社の死活問題に

A 博覧会テーマの“いのち輝く”とは何なのか。個人的にも来場してぜひ確かめたい。ところで、建設経済研究所と経済調査会による2025年度建設投資見通しの4月推計が発表された。

D 物価変動を含む名目値の建設投資額は前年度見通しと比べて1.3%増の74兆9300億円だったが、物価変動を含まない実質値は0.9%減の57兆0596億円と予想した。名目値と実質値で17兆8704億円もの差がある。建設投資が増えていると言われるが、特に地域では実感が伴っていないのではないか。

E 北海道、東日本、西日本の建設業保証3社がまとめた2024年度の公共工事前払金保証統計では、全体の件数が前年度比2.1%減だった一方、請負金額は3.2%増だった。東日本保証の統計だけを見ても、管内23都県のうち、16都県で件数が前年度を下回った。資材価格の高騰や人件費の上昇によって1件当たりの工事費が上がって請負金額が増えているように見えるが、件数が少ないため地域の建設会社には十分に行き渡っていない可能性はある。

B 帝国データバンクの統計では、2024年建設業倒産が過去10年で最多だったという。このうち、13.2%は資材価格やエネルギー価格の高止まりによる影響を受けたものとされる。企業規模別では、従業員数10人未満が最も多い。

D 工事中の価格高騰による影響もあるだろうが、地方の建設会社は公共工事1件の失注が倒産につながるような小規模事業者が少なくない。このため、工事件数の減少はまさに死活問題だ。

E 近年は、政府全体の当初予算における公共事業関係費が判を押したように6兆0800億円程度で推移している。政府が物価高騰の影響に対応する姿勢を示している以上、当初予算でのこうしたキャップもゼロベースで見直すべきだろう。

 

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